数値の信頼性がどの程度のものなのか、現時点ではよく分からない面もあるのだが、このレベルの手数料を取らなければビジネスが成り立たないような金融機関には存在価値が無いと考える。ビジネスモデルの抜本的な改造が必要だろう。経営者は、知らぬふりを決め込まずに、具体的な方針を、数字を示して提示すべきだ。
ちなみに、運用商品を販売する金融機関がどれだけ「顧客本位」であるか否かを評価する上で最も有効なのは、金融機関が顧客に支払わせている手数料コストに関するデータをもう少し詳しく提出させることだろう。 資産残高に対するコスト(手数料率)だけでなく、手数料が顧客に対してどのように分布しているか(過度な手数料を取られている顧客層が存在しないか)、手数料の内訳として取引手数料なのか資産残高に対する継続的な手数料(例:投資信託なら信託報酬)なのかの内訳、などが必要だ。
最終的には、個々の顧客からどのように幾らの手数料を取っているかを見ることが、金融機関の営業姿勢をモニタリングする上で最も効果的だ。また、顧客の側も、「特定の金融機関に対して、自分が1年間に支払った手数料が幾らで、それは自分が受けたサービスに見合っているか」を常に考えるべきだし、金融機関の側も顧客に手数料情報を通知するべきではないだろうか。毎月分配型投信のトータル・リターン通知よりも遙かに有益な情報だ。
顧客から見た運用手数料のKPIは0.5%がメド
また、この点と共に生命保険に関して(特に貯蓄性を謳うものに関して)、実質的な手数料が明示されていないことの問題を早急に解消する必要がある。金融庁は保険業界に対してアンバランスなまでに甘い、と言わざるを得ない。
顧客が得ているリターンは、そもそも販売金融機関にリターンの高い商品を判断する能力は十分ではないのだし、顧客の選択にも影響されるから「参考情報」程度の扱いで見るとよいが、商品購入時点に遡る損益ではなく、特定の1年間を単位として顧客が得たリターンとリスク及びコストを比較するのがフェアだ。この場合、例えば、投信の販売手数料が3%で、保有期間が3年なら年当たりの取引手数料コストを1%と計算するような計算をするといい。
顧客の側でも、自分の運用のKPIとして、運用のコストとして支払っている手数料率を意識するといい。一方、投資家の側の大まかな基準は、筆者が先日「NHKのクローズアップ現代プラス」(10月30日放映)でも申し上げたが、「0.5%」をメドとしたい。すなわち、100万円運用するのに5000円、1000万円なら5万円以上のコストを支払うのは「高い」という価格感覚を持っているなら、避けた方がいい「地雷」のような金融商品・サービスの大半を避けることが出来るだろう。
市場環境という「運」に左右されるリターンと一緒くたにせずに、コストだけを単独で見て、自分が受けたサービスと比較することが大切だ。 何はともあれ、「2%は払い過ぎだ!」と申し上げておく。(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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