「戦力外」プロ野球選手の争奪戦が起こる事情

「優秀な人材」求め激変するセカンドキャリア

彼らのプレーを凝視するのが、バックネット裏に陣取ったNPB各球団の関係者だ。彼らは「まだ使える」選手を見つけようと一つひとつのプレーを注視している。3回目の復帰をした巨人、原辰徳監督によって一軍内野守備兼打撃コーチに招聘された元木大介氏の顔もある。

また、バックネット裏には独立リーグの監督、社長、GMなども集まっている。こちらはNPBの選から漏れた選手を中心選手として獲得しようとしている。

さらに、社会人野球の関係者の姿もある。最近は、プロアマの垣根が低くなり、元プロ選手が社会人で選手や指導者として一働きすることも珍しくなくなった。警視庁野球部の石川伸次監督の姿もあった。屈強な元プロ野球選手は警察官としても有望だ。これまで3人の元プロ選手が試験を受けて、警視庁の警察官になっている。そのうえで警視庁野球部の野球選手としても期待をかけている。

MLB(メジャーリーグ)関係者の姿もある。サンディエゴ・パドレスのアドバイザーである斎藤隆氏は、現地のスタッフとともにグラウンドを見つめていた。

客席には、世界各国で野球ナショナルチームの監督を歴任してきた色川冬馬氏(TOMA Global Education代表)の顔もあった。色川氏はテストを受けた選手の中から、海外でプレーをしたり、野球指導をする人材を発掘したいと考えている。

ここまでは「野球」というくくりの中でのセカンドキャリアの関係者だ。しかし、最近のトライアウトは、数年前には考えられなかった展開を見せつつある。

選手の「出待ち」をするビジネスマンたち

トライアウトでは野手組は基本的に終了まで残って打席に立ったり守備に就いたりするが、投手組の中には自分の出番が終わると関係者にあいさつをして、先に帰る選手がいる。

球場の外にはファンがサインをもらおうと出待ちしているが、ファンとともにスーツ姿のビジネスマンと思しき人の姿が球場エントランス付近に何組もたむろしているのだ。

ユニフォームから私服に着替えた選手が出てくると、ビジネスマンたちは駆け寄って紙袋から書類を出して手渡したり、名刺を渡したりする。彼らは一般的な民間企業の経営者や採用担当者なのだ。

トライアウトを終えた選手に話しかける人事担当者(筆者撮影)

数社と名刺交換をしたが、社名は伏せてほしいとの要望だった。

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