「プレイヤーズファースト」という言葉は、流行語大賞にはノミネートされなかったが、今年、世間をにぎわせた言葉だ。スポーツ界に不祥事が起こるたびに、いろいろな立場の人が「プレイヤーズファースト」「選手ファースト」を口にした。あたかも金科玉条のようではあったが、なかには誤用、乱用ではないかと思えるものもあった。
「プレイヤーズファースト」の誤用、乱用
女子レスリング、伊調馨へのパワハラ問題で日本代表監督の任を解かれた栄和人氏は、のちに一時的に現場復帰した。
それを指示した至学館大学の谷岡郁子学長は「選手が栄さんの指導を受けたいと言っている。選手ファーストだから、復帰させた」と説明した。
今夏の記録的な酷暑で、甲子園で開催された高校野球選手権大会には多くの疑問の声が投げかけられた。
甲子園以外の球場、たとえば京セラドームでできないのかという声が上がったが、高野連の竹中雅彦事務局長は「プレイヤーズファーストですよ。選手が第一。大人の考えはあっても選手はどうなのか。選手がどうしても甲子園で、というならそれもプレイヤーズファーストなので難しいですよね」と語った。
この言葉の本来の意味を知らなくて引用したのか、知っていてあえて誤用したのかはわからないが、こうした発言が今のスポーツ指導をめぐる状況をいっそう混乱させている。
プレイヤーズファーストという言葉は、最新の広辞苑(第七版)にも、主要な辞書や現代用語関連書籍にも載っていない。歴史が浅く、まだ意味が定まっていない言葉だ。
この言葉を日本国内で最初に使ったのは、筆者が調べた限りではJFA(日本サッカー協会)だった。JFAの公式サイトには「選手育成」というページがありPLAYERS FIRST!というタイトルで、
と書かれている。
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