「戦力外」プロ野球選手の争奪戦が起こる事情

「優秀な人材」求め激変するセカンドキャリア

「元プロ野球選手は、優秀な人材だと聞いて、今年初めて参加しました。彼らは厳しい競争に耐えてここまできています。普通の人では経験できないことも経験しています。獲得できるかどうかわかりませんが、コネクションを作りたいと思います」と、東京の専門商社の営業企画室社員はこう語った。

「何と言っても、ネットワークが魅力ですね。野球選手がここまで来るまでには、多くの人とかかわっています。周囲の人の応援があってここまできたわけですから、それだけの人望もあると思います」

大手生命保険会社の東京エリアの営業所長も続ける。この生保会社は、九州エリアの担当者も来ていた。彼らも「ネットワークが魅力、うちは特に九州出身の選手にアプローチしたい」と語る。

別の大手損害保険会社の東京エリアの営業所長は、「今度、営業所を新設して所長になりました。うちの営業所にぜひ、元プロ野球選手がほしい。彼らは厳しい上下関係の中で育ったから礼儀正しいし、規律を重んじます。それに優秀です」と語った。

筆者は「学歴は関係ないのか」と聞いたが、一様にかえってきたのは「学歴よりも実力が大事だ」という答えだ。

また、20代前半の若手選手ではなく、30歳前後の選手のほうがいいという。世の中をある程度知って、人間関係もできているからだ。「即戦力ですよ」という答えだった。

「野球だけでなく、ラグビーやサッカーなどいろんなスポーツ選手に声をかけています。私もセカンドキャリアでは苦労しましたが、彼らに活躍の舞台を与えてやりたい」と語る。大阪の警備会社の社長は、スポーツ選手だった自分自身に重ね合わせる。

広がりつつあるプロ野球選手上がりのセカンドキャリア

数年前まで、プロ野球選手のセカンドキャリアと言えば、アマ野球の監督・コーチ、球団職員、飲食店などの自営業くらいしかなかった。

有名企業への就職など考えられなかったが、少子高齢化が進み、人材難が深刻化する中で、エリートアスリートである元プロ野球選手は、体力だけでなく、経験値、知力、人間関係力などを高く評価されるようになっているのだ。

球場の外のホワイトボードにはファンからのメッセージが掲出されていた(筆者撮影)
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