「途上国の女の子」差別や危険が当然な日常 刷り込まれた男女の役割分担に変革を!
一方で、新しいことで受け入れにくいということもあるかもしれませんが、それも体験しながら変わってきて、「大事かもしれないな」と1年、2年、5年、10年経って思えるようになってきたら、その地域の差別なり、生活環境なり、変わる可能性はあるなと思っています。だから僕たちが、枠からはみ出たことを入れる、提案する役割というのはすごく重大だなと思っています。
柔軟で長期的な支援を
Q、日本にいる私たちには、何ができるでしょうか?
馬野:僕たちが今一番お願いしているのが、「プラン・スポンサーシップ」という支援の形です。毎月3000円からの継続寄付による支援です。「プラン・スポンサーシップ」は地域を底上げする支援なのですが、「スポンサー(支援者)」1人に対して、地域の代表としての1人の「チャイルド」を繋げます。スポンサーの方には、そのチャイルドとの手紙によるコミュニケーションで、子どもたちの成長の様を見ていただきます。また、そのチャイルドのいる地域の変化や活動の報告をします。子どもたちは、家族や地域の変化、改善の影響を確実に受けます。子どもの変化は、地域の変化でもある。それを知っていただきたいと思います。スポンサーの方たちと僕たちが活動している地域を繋げる努力を、プラン・インターナショナルでやっています。
スポンサーシップによる継続寄付があることで、「みんながお互いに大事にし合える環境、慎ましいながらもちゃんと生活できる環境を作っていく」という私たちの目標に向けて、長期的なコミットで柔軟に対応しながら支援ができる。それが「プラン・スポンサーシップ」の一番の強みです。
慣習は一朝一夕では変えられないので、細くても長くやっていく必要がある。それができるのが、「プラン・スポンサーシップ」です。プロジェクトベースで寄付を集める方法もありますが、プロジェクトには期限がある。例えば3年間毎日のように「〇〇をやめましょう」と啓発をすると、村の人は「やめた方がいいよね」と頭では思うかもしれない。でも、慣習として、本人の納得感を持って行動を変えるには、3年では十分でないこともある。
例えば結婚の話。なぜかというと、それは家族の名誉に関わることだからです。「本当は結婚させたくないな」とか「命に関わる若年妊娠はさせたくないな」と思っているかもしれない。でも地域の中にあって、10代後半になって結婚しない女の子がいるということが恥ずかしいと、結婚をさせてしまう。また、例えば、女性器切除の話。自分の娘が10代後半になっても女性器切除をしていないと、切除が危険だと分かっていても、「でも自分の娘だけやらせないと恥ずかしい。結婚できないかもしれない」とやらせてしまう。