「途上国の女の子」差別や危険が当然な日常

刷り込まれた男女の役割分担に変革を!

鶏に餌をやる子ども(写真:©︎国際NGOプラン・インターナショナル)

貯蓄貸付組合では、10人の女の子が1つのグループになって貸付組合のやり方を学びます。毎週一定の金額、例えば日本円で10円、50円という彼女たちが出せる金額を、毎週みんなで共通の財布に入れていきます。1000円、2000円、3000円とある程度貯まった時に、順番にそれが貸し付けられる。そのお金の使い方を、女の子たちはいろいろと考えていました。

たとえば、食材をまとめて買って、サンドウィッチなどを自分で料理し、学校や大人たちが働いている場所の近くで、スタンドを置いて販売する。その収益で継続的に商売を続けるとともに、多少の金利とともに借りたお金を共通の財布に返す。あるいは、麦をまとめて買って、製粉所で粉にして、小分けにして販売し、収入にするという子もいました。アイデアがすごくたくさんあるなというのが発見でした。また、決まった期限にちゃんと返すというのが、もう1つの大きな発見でした。

貯蓄貸付組合での団らん風景(写真:©︎国際NGOプラン・インターナショナル)

養鶏では、それぞれのグループに、雄鶏と10匹の雌鶏、養鶏のカゴを提供し、餌の作り方、病気にならない方法を伝えます。そうして鶏を育て、卵を市場で売って収入にします。

貯蓄貸付組合で商売を始め、ちゃんとお金を返し、さらに養鶏で収入を得る。それを、周りの人は見ているんですね。周りの女の子だけではなく、男の子も、大人も見ている。ある女の子から聞いたのが、「お父さんが自分から『手伝ってあげようか』って言ってくれた」「男の子の友達に、『やり方を教えて』って言われた」。今までは全部受け身で、「〇〇やれ。言ったようにしていればいいから」と言われていたのが、「教えて」「手伝ってあげるよ」と言われた。

そういう言葉が女の子にものすごい影響を与えた。僕がそこで女の子から聞いて一番びっくりした言葉が、「自分を大事に思えるようになった」「家族に、地域に貢献できるんだ。私でも、私みたいな人でも貢献できるんだと思った」。そういう言葉を聞いて思ったのは、彼女たち自身の中で、自分の「尊厳」というものを感じているということでした。

女性の識字率2%の地で女の子の公教育を

Q、他にはどのようなプロジェクトがありますか?

馬野:もう1つの例として、パキスタンの現場もあります。パキスタンは、地域にもよるのですが、特に北部は原理的なイスラム教の文化が根付いています。活動を行っているパキスタン北端のギルギット・バルティスタン州ディアメール郡は、行政もほとんど入れない閉鎖的な地域ですが、そこで活動しているローカルパートナーとの連携により、活動を許されました。そこでは、僕もびっくりしたのですが、女性の識字率が2%(※4)。男性でも30%(※5)で、ほとんどの人が読み書きできませんでした。行政も入れないので、公教育もほとんどない地域です。そこで私たちは、女の子への公教育を導入しようというプロジェクトにチャレンジしました。

(※4:UNICEFのレポートによると、2016-2017年度で、10歳以上の女性の識字率は11.9%に回復。)

(※5:UNICEFのレポートによると、2016-2017年度で、10歳以上の男性の識字率は46.4%に回復。)

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