「途上国の女の子」差別や危険が当然な日常 刷り込まれた男女の役割分担に変革を!
その差別の1つに、女性への差別があります。これは途上国に限っての話ではなく、日本でも女性への軽視や、男性よりも肉体的にも精神的にも劣っているという刷り込まれた差別的で不平等な男女の役割分担がある。日本でもあるけれど、やはり僕たちが活動しているアジアやアフリカなどの途上国ではより多くある。それが、女性が貧困の連鎖に釘付けにされてしまっているという大きな理由でもあります。
例えば、家事の分担。掃除、洗濯、食事の準備などの家事の役割分担が女性に集中している。
あるいは、食事の順番。男性が食べ終わってから、女性が食べる。
あるいは、発言権。家計については世帯主の男性が全部決めている。定期的な村の集会でも、女性は参加はしているけれど、発言したり物事を決めたりするのは長老などの男性。女性の意見が反映される環境が、家の中でも地域の中でもなかなかない状況がある。
あるいは、女性の人生の大事なタイミングを自分で決められない。毎日楽しく学校に行っているにもかかわらず、ある年齢になると、「もうお前行かなくていい。下の子のケアも家事もあるでしょ」「学校行かなくていいから、隣村の〇〇さんと結婚して」と、学校を辞めなければいけなくなる。女の子は、「勉強したい。結婚したくない」と言えない状況。
決めるのはお父さんや地域の男性で、それに従わなければならないということが当たり前の、刷り込まれた役割分担があるのです。それが女性の貧困の要因になっているだけではなく、家族全体の貧困の原因にもなっている。あるいは、地域がこのような男女の役割分担を強いてしまっていることによって、その地域が貧困から脱出する際の大きなハードルになってしまっているということが統計的にもわかっている。プラン・インターナショナルでは、女性やマイノリティへの差別を削減していくことが、その家族、地域、社会の発展へと繋がっていくという確信を持って活動しています。
貯蓄貸付組合と養鶏で10代の女の子に生きる力
Q、プラン・インターナショナルさんが実際に行っているプロジェクトには、どのようなものがあるでしょうか?
馬野:西アフリカ・ベナンでのプロジェクトを紹介させてください。ターゲットになっている地域は、やはり女性の地位が低く置かれています。日本でいう小学校高学年、中学校レベルで、「もう学校はいい、家庭に入れ。家事をすればいい。結婚しなさい」と、多くの女の子が10代で結婚し、さらに出産をしています。そこで、10代の貧しい環境にある女の子をターゲットにしたプロジェクトを実施しました。そこでやっていた活動は大きく2つあります。「貯蓄貸付組合(Village Saving and Loan Association )」と「養鶏」です。