日本が「睡眠不足大国」に転落した3つの事情 急速に減少していく日本人の「睡眠時間」

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②長すぎる通勤時間

通勤時間の長さも一因です。とりわけ都市部でその傾向が顕著で、通勤時間と睡眠時間が完全に逆相関しているのです。

総務省統計局が行った「平成28年 社会生活基本調査」の結果をもとに通勤時間と睡眠時間の関係を分析すると、平日は、通勤時間が長い都市部の人ほど睡眠時間が短いことがわかります。休日については、どの都道府県でも平日より多く寝ていて地域差も小さくなっています。また、通勤時間が長い人ほど休日に長く寝ていることがわかります。

通勤時間はビジネスパーソンにとっていわば、“固定費”。削ることはできません。都市部で働く人の多くは、通勤ラッシュと睡眠不足ストレスが重なるわけで、疲れるのも無理はありません。

③長すぎるスマホ利用

もう1つの大きな要因は、IT機器の使用時間が格段に増えたことです。

東京都が睡眠不足の人に原因をリサーチしたところ、過半数が「スマホとパソコン」を挙げています。特にスマホは起きている間じゅう手離さず、「近くにないと具合が悪くなる」という声もあるほどです。

寝る時間が削られるだけではありません。IT機器の液晶画面から発せられるブルーライトは睡眠のリズムを乱すほど強力ではないとしても、寝る1~2時間前までSNSやメールなどネット上でのコミュニケーションをすれば感情が揺さぶられ覚醒度が高まり、眠りの質が低下します。

労働時間、通勤時間、スマホ時間、これらに個々の仕事や家庭の事情も加わって睡眠時間が圧迫され厳しい状況が生まれているわけです。

なお、「睡眠不足」は働く世代に見られる傾向で、リタイア世代になると寝ようとしても眠れない「不眠」が多くなります。

いつから日本人は「睡眠不足」になったのか?

戦前、戦後、今と、時代の推移とともに睡眠時間は急速に減っています。NHKが1960年代から実施している「国民生活時間調査」のデータも参考に見てみましょう。

今、国民の9割がベッドに入っている時間帯は「深夜1時」です。戦後間もなくは「11時」。起きる時間は今より1時間早かったので、2時間早く寝て1時間早く起きる生活でした。つまり1時間長く眠っていたことになります。

高度経済成長期(1955~1973年)に入ると、寝静まる時間は「午前0時」に。起きる時間も1時間遅くなったため睡眠時間は差し引きゼロで変わりませんでした。

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