東京も地方も「24時間型社会」はやめるべきだ

「未来の年表」著者・河合雅司氏に聞く<前編>

通勤時間がなくなる在宅勤務の場合、会社勤務より早い午前7~8時に仕事を始め、夕方の4~5時には終わらせることができます。満員電車に揺られる通勤で体力を消耗することもなく、最初から仕事に集中できるというメリットもあります。当然ながら、仕事における生産性を高めながら、残業となるべき時間も減らすことができるわけです。

いままで毎日の通勤に使っていた時間をすべて仕事に充てることができれば、どれだけの効果が得られるのか想像してみてください。私も自宅と勤務地はできるだけ近いほうが効率性は上がるという考えから、今の仕事を始めた時から通勤時間は5~10分以内に収まるようにしてきましたが、その効果は想定していた以上に大きいものとなっています。

河合:先にも述べたように、以前は東京へ一極集中することに意味はありました。しかし、現在では産業の主役は製造業から介護などの生活サービス分野に移りつつあります。さらには、情報技術の発達も進んでいますので、業種や個々の仕事内容にもよりますが、必ずしも都心のオフィスに全員が集まって仕事をする必要はなくなってきています。

私は勤労世代が減るというのに、多くの働き手を通勤電車や通勤のための自動車内に缶詰にしておく余裕など日本にはないと思っています。車内に閉じ込められている往復時間というのは、ビジネスばかりか消費もできず、ボランティア活動もできないのですから。

中原さんが言うように、テレワークが進んで毎日の通勤時間をなくすことができれば、企業の生産性が向上するのはもちろん、生活は豊かになるでしょうし、少子化対策にも効果があるでしょう。

実証されている労働時間と出生率の関係

中原:河合さんもご存じのように、テレワークには少子化を緩和する効果は少なくとも3つあります。

第1に考えられる効果は、地方に良質な雇用を提供できるということです。地方でリモート社員として東京圏と同等の賃金が得られるのであれば、地元に残りたい、地元に帰りたいと思う若者は意外に多いのです。

第2の効果は、長時間労働を是正できることです。在宅勤務が標準的な働き方になれば、東京圏でも地方でも通勤に要する時間を節約できます。フランスやスウェーデンなどの事例を見れば、労働時間を短くするよう改めれば出生率が上がるという効果は実証されています。

第3の効果は、育児や子育てで離職した女性が再び働く機会を得られるということです。夫婦で働くことで経済的に安定するうえに、女性が自由な働き方を選択できるのであれば、第2子や第3子を欲しいと思う強い動機付けになると考えられます。河合さんはご著書『未来の年表』の中で少子化対策をいくつか提唱されていますね。

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