AI(人工知能)が広く浸透していく時代の到来に向けて、私たちはどのような心構えを持って、どのような視点でスキルを磨いていったらいいのでしょうか。
多くの専門家がAIの時代に重要な能力として挙げるのは、「人間的資質」や「企画発想力(創造力)」「コミュニケーション能力」などです。人間は「AIが得意なこと」をしっかり見極めたうえで、AIよりも得意なこと、たとえば、企画・立案、事業開発といった仕事に集中するのが肝要だというのです。
通訳・翻訳といった仕事は自動翻訳の技術が担うことになり、「語学力」は従来ほど重要な能力ではなくなるので、「人間ならではの強み」を身に付ける必要性が増しているといいます。だから、AIが持っていない人間力を鍛えていくためには、今の人材教育のあり方を大きく変えて、創造力や共感する力をもっと伸ばしていかねばならないというわけです。
「士業」は「人間力」を武器にできるのか?
以前の2つのコラム「AIで弁護士も大量に失業する時代が来る」「AIの進化で医師も失業する時代がやってくる」では、弁護士や会計士、弁理士、医師などの仕事のほとんどがAIで代替できると言いましたが、逆に言えば、人間力を武器とした新たな弁護士像とは、裁判により傷ついた依頼人の心のケアといった、AIにはできない領域に活路を見いだすことになるのかもしれません。
同じように、新たな弁理士像とは、顧客の発明をさらに価値あるものにするために知恵を絞るものになるのかもしれません。さらに、これからの医師にとって最も大事な業務とは、患者との信頼関係を築くコミュニケーションになるのかもしれません。かゆいところに手が届くサービスは日本人のもともとの強みではあるものの、本当にそれだけのことで仕事を順調にこなしていけるのでしょうか。
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