日本は毎年人口減少が進んでいくものの、高齢者数は2042年まで増え続けていく見通しにあります。このため、さすがに「最強のエリート」である医師はこれからもずっと安泰だろうと考える人々が多いようです。
医師の仕事の8割は、AIやロボットで代替できる
しかし、AIやロボットの進化の度合いを考慮すると、早ければ10年後に、遅くても20年後には、医師も淘汰の波にあらがうことはできそうもありません。なぜならば、AIやロボットが医師の仕事の8割程度は代替できることが、実証実験などで明らかになってきているからです。医師の主な業務である患者の診断、薬の処方、手術などをAIやロボットが担うという趨勢は、不可逆的なものとなっていくことでしょう。
アメリカの医療現場でのAIの実証実験においては、患者の症状や個人データ(年齢、性別、体重、居住地、職業、喫煙の有無など)を入力すれば、AIが膨大なデータを瞬く間に分析して、病名を特定したり、適切な治療方法を割り出したりすることができるといいます。
AIは与えられたデータのみから患者を冷静に診断するため、人ならではの先入観や勘違いに起因する誤診をなくすことができ、すでに経験が豊富な医師よりも高い実績を残し始めているといいます。当然のことながら、正確な診断に基づいて、薬の処方も適切にできることが確認されています。
手術の分野でも、アメリカのインテュイティブ・サージカル社が開発した手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」がその性能の高さから注目されています。
従来、困難な手術は高い技量を持った医師に依存せざるをえませんが、さすがに1ミリ単位の精密さが求められる手術では、いくら医師の技量が高いといっても限界がありました。ところが、ダヴィンチを使えば人ではできない精緻で複雑な動きができるため、経験が浅い医師でも短期間の練習によって困難な手術をこなすことができるようになるそうです。
さらに私は、ダヴィンチやそれに類するロボットがAIや仮想現実(VR)の技術力を取り入れることによって、いっそう進化を遂げるのではないかと推測しています。
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