「劣化したオッサン」たちが再生産される本質

中堅・若手が三流のおじさんに対抗する武器

日本において、オピニオンとエグジットという牽制圧力がガバナンスとしてまったく機能していないということを痛感させられたのが、オリンパスの粉飾決算事件です。ことのあらましは次のような次第でした。

2011(平成23)年4月に、イギリス人経営者マイケル・ウッドフォード氏がオリンパス社長に就任しますが、過去のオリンパス経営陣による企業買収において買収価格が説明不能なほどに高額であること、存在の不確かなケイマン諸島のアドバイザーに高額の手数料を支払っている点などを問題視し、当時の菊川剛会長および森久志副社長に問題の調査を提言したところ、直後に開かれた取締役会議で社長職を解任されてしまいます。

結局、その後の調査により、オリンパスは、バブル崩壊で被った多額の損失を秘密裏に会計処理するため、実態とかけ離れた高額の企業買収を行い、それを投資失敗による特別損失として計上して減損処理し、本当の損失原因を粉飾しようとしていたことがわかりました。10年以上にわたる他に類を見ない長期間の悪質な会計粉飾で、もちろん歴代の会長・社長はそれを知っていて黙認したままでした。

オリンパスの事件について筆者が感じたのは、日本人にとっての個人と組織の関係は、欧米人のそれとは違うのだな、という当たり前の事実でした。

ウッドフォード氏としては、自分が株主から経営を委託されている経営者である以上、個人の責任として不透明な買収についてはこれを明らかにする必要があると感じて、当時の菊川会長にオピニオンを提出しているわけですが、ではなぜ、歴代の社長あるいは役員は同じことができなかったのか? ということです。

劣化したオッサン再生産の本質

ここに「劣化したオッサン」を生み出すメカニズムの本質が見えてきます。

『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』(光文社新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

なにを言っているのかというと、劣化したオッサンを生み出しているのは、とりもなおさず、オピニオンもフィードバックもしない配下の人々でもある、ということです。

配下の人からのフィードバックが足りていないために、自分の人格や人望について勘違いしている人があまりにも多い、ということがあります。

そして、劣化したオッサンのもとでこのような忖度を繰り返していれば、やがては先述したとおり、深く考える思考力は麻痺し、道徳観は衰弱し、結果的には自分もまた「劣化したオッサン」になる。

つまり「劣化したオッサン」のもとで、オピニオンもエグジットも行使せずに、ただダラダラと理想もなく生きていれば、「劣化したオッサンによる劣化したオッサンの拡大再生産」という悪夢のようなプロセスが、延々と繰り返されることになる、ということです。

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