「ゴーゴーカレー」濃厚ルーとカツの快進劇 「金沢カレー」とはどのようなものなのか

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しかしゴーゴーカレーの独自性が光るのは、なんといってもそのエピソードにおいてだ。創業者であり代表取締役の宮森宏和氏は、もと旅行会社のサラリーマン。野球の松井秀喜選手のニューヨーク・ヤンキース入りに感動して開業を決意、2004年5月5日、新宿にゴーゴーカレー1号店を立ち上げた。松井選手の背番号55にあやかっての、55へのこだわりはすさまじい。「ゴーゴー」の店名ももちろんだが、ルーを作る工程が55あるほか、5時間煮込んだルーをさらに55時間寝かせているという。さらには、資本金5500万円、年商55億円など、普通は操作が自由に利かなそうな数値にも、55の背番号が紛れ込んでいる。

ロゴマークをはじめとするブランド戦略も強烈だ。

ゴーゴーカレーグループ常務取締役管理本部長新村栄一郎氏(編集部撮影)

「ゴリラは、松井選手の愛称ゴジラから。ゴジラだと著作権上の問題があったため、1字違いのゴリラにしました」(ゴーゴーカレーグループ 常務取締役管理本部長新村栄一郎氏)

赤色と黄色の配色や、ロゴマークのゴリラを囲む円などは、ほかのブランドを彷彿とさせなじみ深い。

新店舗オープンのたびに、555人に対し55円でロースカツカレーを提供する、ホームランデーにトッピング無料券を配るなどの宣伝戦略も、同チェーンの認知度を高めた。

「莫大な広告費を払うことを考えれば効率はよいですよね。マスコミにも取り上げていただけました」(新村氏)

つねにニューヨーク展開が念頭にあった

1号店オープンから3年後の2007年には、いち早くニューヨーク上陸も果たした。これは、松井選手にあこがれて独立開業した宮森氏の念頭に、つねにニューヨーク展開があったことが理由だ。現在はアメリカに7、ブラジルに1と、海外店舗を増やしている。10月25日にはテキサス店がオープンし、アメリカでは8店舗となった。

ニューヨーク店は快調で、街中でひときわ目立つ黄色の看板の前に、行列ができていることも珍しくないという。インド料理のカレーとは異なる日本のカレーは、海外の人にも人気があるのだ。

近隣に大きな展示会場があり、最大級のコミック・アニメの展示会「コミコン」が開催されるときなどは客数も大きく伸びる。日本と異なりデリバリーも多い。デリバリーを合わせると、平均して1日に300食が出るそうだ。

「海外からの出店依頼は、実はたくさんあります。ただ、国によっては輸送に関する問題で、オリジナルのルーをそのままは持ち込めないので、簡単に展開を広げることができないんです。当社のルーは当社が非常にこだわっているもので、当然外部にレシピは出せませんので。ニューヨーク店の場合は店内の厨房でルーを仕込んでいます」(新村氏)

今後海外での出店を広げるために、OEM工場を設置することも検討している。

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