エントリーシートでは、「やる気になれば何ができるのか?」という意味で、学生の能力の最大値がわかります(これはこれで重要です)。しかし「やらなければならないことに対して、どのように向き合えるのか」を判断することはできないのです。
成績表で「やらなければならないこと」への姿勢がわかる
一方、大学の成績表を面接に活用すれば、「やらなければならないこと」に対する学生の姿勢が、手に取るようにわかります。理由は、以下の3つです。
■学業は「やらなければならないこと」である
多くの学生にとって、学業は「やらなければならないこと」であり、モチベーションが低いものです。だからこそ学業への取り組みは、「やらなければならないこと」に対する取り組み姿勢を判断する指標になるのです。
たとえば、授業の選択の仕方について質問したとします。
「『社会研究入門ゼミ』など、発表することが求められる授業は役に立つと考え、人前で話すのは苦手でしたが、履修しました。社会人になったら、会議やコンペで発表・プレゼンする機会が多いと思ったからです」
このように考える学生は、苦手なことにも努力することができ、長期視点を持って物事に取り組む姿勢があると推測できます。ただし、この授業の評価が低かった場合には、なぜ評価が低かったのかをきちんと確かめる必要があるでしょう。
■成績表には、学生が伝えたくないことも書かれている
成績表には、学生が話したい授業(成績がよかった授業や力を入れた授業)だけではなく、話したくない授業(成績が悪かった授業や力を抜いた授業)に関する情報も書かれています。それを基に質問することで、学生の本質を見抜くことができます。
たとえば、次のような質問が考えられます。
・先ほど、この科目に関して力を入れたと言っていたのに、なぜ成績はD評価なのですか?
・貿易論Aは興味があったのに、貿易論Bに興味を持たなかった理由はなんですか?
・論理的に考えるのが得意だと言っていたのに、なぜ論理学の成績はよくないのですか?
■他者からの評価なので、脚色できない
成績は他者(大学の先生)の評価なので、学生が「盛って」話すことができません。ですから、突っ込んで聞けば正直に話さざるをえなくなると思われます。そのため、学生の考え方や行動がより深く理解できます。
たとえば成績がよくない科目について聞いたとき、以下のような発言があったとしましょう。
「その科目には、それほど力を入れて勉強しませんでした。内容に興味が持てなかったうえに、一方的な講義スタイルだったので、まじめに学ぶ気が起きませんでした」
このような発言があれば、この学生にとってのこの科目の重要度と、「やらなければならないこと」に直面したときの行動がはっきりわかります。
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