葬式の際は、伯母と付き合いのあった2人の女性が芙海さんの前に現れ、「あなた、あのおばさんは本当に大変だったわね」と心底同情してくれたということです。
噴出した伯母夫婦への怒りの感情
長年抑え込んできた芙海さんの怒りの感情があふれ出したのは、伯母が亡くなってから間もなくのこと。毎晩のように「あのお金(母の遺産)はどうなっているのか」「あなたたちに辛くあたられて私は苦しかった」と伯母に怒鳴る夢を見ては、泣きながら目を覚ますようになったのです。
アロマセラピーを受けた際、芙海さんはセラピストから、「怒りを消化するよう、本人に怒りをぶつけること」を助言されますが、伯母は亡くなっているため叶いません。そこで代わりに勧められた「形あるものを叩き壊す」行為を不用品で実践したところ、気持ちが落ち着いてきたそう。
その後、伯父にもようやく思いをぶつけることができました。伯父からある連絡を受けた際に感情を抑えられなくなり、「母の遺産について、きちんと清算してほしい」と訴えたのです。
ところが、伯父の返事は意外なものでした。「何のことだかわからない」。どうやら伯父は、自分の稼ぎで芙海さんを養ってきたと思っているようです。財布は妻(伯母)が握っていたため、もしかすると伯父は、母親の遺産のことを知らなかったのかもしれません。だとしたら、長年伯父や従姉妹たちが「育ててやっている」と恩着せがましく、辛くあたってきたことも納得できます。
「悪い人じゃなかったと思うんですね。自分の稼ぎで、従姉妹と姪の私を分け隔てなく育てていた、つもりだったとしたら。性格はきついし、情けないところもあったけれど、感謝しています」
伯父が誤解していた可能性に気づいた芙海さんは、このとき改めて、後見人制度を見直して、行政機関などの第三者がもっときちんとお金をチェックする仕組みを整えてほしいと感じたと言います。
「子どもの立場の私が、伯母夫婦に『私のお金はどうなってるんですか』なんて聞かなくて済むようにしてほしかった。
私みたいに親が死んじゃって、親せきに面倒を見てもらう人も、いっぱいいると思うんですね。いまは豪雨や震災で親を亡くした子だって多いじゃないですか。その子たち大丈夫かな?って、いつも思うんですよ」
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