「実家の相続」でモメまくる家族を救う方法 共有名義不動産は将来に禍根を残しやすい
将来、親から実家を相続する、もしくは子どもたちに相続させる予定の人は多いでしょう。不動産相続での心配ごとといえば相続税がありますが、多くの場合は非課税枠内に収まるので、「余計な出費もほとんどなく、円満に相続できるだろう」と思いがち。しかし実は思わぬところに落とし穴が潜んでいます。それが「共有名義不動産」問題です。
拙著『相続の落とし穴! 共有名義不動産: 想い出がきれいなうちにトラブル解決』でも述べていますが、たとえば、家主である夫が亡くなり、遺された妻と子どもたちで実家を相続することになった場合。事前の相続対策を行っていなければ、その家は妻と子どもたちの共有物、すなわち「共有名義不動産」となります。こうなると非常にややこしく、売るにしても貸すにしても改築するにしても、共有者全員による取り決めが必要となってくるのです。
結局、意見がまとまらず、相続した家の処遇に困り、実家は放置状態、空き家のまま年月が経過しているケースも少なくありません。これが現代多発している空き家問題の一因ともなっているのが現状です。
放置し続けると手も付けられない状態に
「家族間のことだし、それでも大きな問題にならないのでは?」と思うかもしれません。確かに、いざ「家を売ろう」となったとき、家族の誰かが指揮を執って円滑に話し合いが進めば、共有者全員の同意のもと売却に至ることも可能でしょう。しかし、長いこと放置していた実家の場合、それは容易なことではないのです。
たとえば子どものさらに下の代、元の家主から見れば孫たちの代にまで相続が広がっていると、共有者の数が当初の2倍、3倍にも膨れ上がっていることもあります。ほとんど面識のなかった遠い親戚と共有関係になっていることもありうるわけです。こうなると実家の処遇はいよいよ決着がつかなくなってしまいます。話し合いの場を設けるにも、共有者全員が一堂に会することは至難の業なのですから。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら