「実家の相続」でモメまくる家族を救う方法 共有名義不動産は将来に禍根を残しやすい
私の知る共有名義不動産に絡んだ最悪のケースを紹介しましょう。
相談に来られた女性は、父親の遺した実家を、母と姉と自分の3人で共有名義不動産として相続しました。仲の良かった3人は「今は共有状態で、いつかは売ろうね」と話し合っていたそうです。ところが、母親が認知症となり、姉夫婦が実家で母と一生に暮らすようになって以降、事態は一変しました。相談者は母や姉との交流を一切遮断されてしまったのです。
連絡をとるには姉夫婦の顧問弁護士を介さないといけなくなりました。さらにはこの弁護士から「すでに母親から遺書をあずかっている」という旨の通達も。実家の持分などを含んだ母親の財産は、すべて姉夫婦に継がせるという驚愕の内容でした。
「これはおかしい」と相談者は感じました。今まで仲が良かった家族なのに、突然の冷酷ともいえる態度。背景には、姉の夫が絡んでいました。彼は実家の財産を少しでも多く取得したいがため、あの手この手を使って相談者を追い込んでいたのです。「もう家族の関係はボロボロ。早くこの状況を終わらせて、気持ちを楽にしたい」。相談者の女性は心身疲れきった様子で打ち明けてくださいました。
このように、もとは仲の良かった家族でも、新しい「親戚」の登場介入によって家族の絆が失われ、家族間ではどうにもならず相談に来られるケースは多くあります。そしてこのトラブルは、実家を宙ぶらりんな状態ともいえる共有名義不動産にしていたことが発端と考えることができます。
想い出がきれいなうちに解決を
家族の関係が崩壊に至る前に、共有名義不動産は早々に決着をつけることをお薦めします。共有関係を解消させるか、共有関係となる前に手を打つ、これが重要。まず何といっても大切な心構えが「問題を先延ばしにしない」ことです。共有者が少ないうちに速やかに対処しましょう。
具体的な対処方法はおもに次の4つ。
①まずは「遺産分割協議」、つまり話し合いです。相続発生後、共有者間で話し合い、実家をどう活用していくかを決め、きちんと書面に残します。第三者に売るのか、共有者の誰かの所有にするのか、ひとまず共有状態にしていずれ売るのか、売るとしたらいつまでに売却するか。後々問題にならないよう、きちんと文章にして、共有者全員の署名を入れましょう。
②次に「登記」。法務局に申請し、被相続人のものになっている実家を、新しい相続人の名義に更新しましょう。この手続きを行っておくことで、今後何かトラブルが発生したときも、名義人の所有物であることが確実に証明でき、事態の深刻化を回避できます。手続きにはそれなりの手数料がかかりますが、その分の見返りは十分にあります。
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