「実家の相続」でモメまくる家族を救う方法 共有名義不動産は将来に禍根を残しやすい

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③共有関係になる前の事前対策なら「生前贈与」や「遺言書」。被相続人による終活です。これをしておけば後々に問題となることはまずありません。今後実家を相続させることになる方は、たとえその財産が小規模のものであっても、先手を打っておくことを推奨します。

④極めつきが「家族信託」。今、最も注目を浴びている対策のひとつです。被相続人の財産に関する決定権を、事前に家族の誰かに託す方法になります。これによって実家は信託財産となり、共有名義不動産となることを防ぎます。

また、たとえば被相続人が認知症になって正当な判断ができなくなったり、怪我や病気で意識を失ってしまったりしたときも、財産が塩漬け状態になることを防ぎ、決定権を任された受託者が迅速に対処できます。さらにこの家族信託は、共有名義不動産となった後にも行うことができます。共有者の誰かに決定権を託すことで、問題が大きくなることを防げるのです。

これら解決方法は煩雑な手続きや法的な部分も絡んでくるので、自分には難しそうと感じたら、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するのがベター。出費はかかってしまいますが、その分時間をとられることはありませんし、後々確実にやってくる問題に遭遇せずに済むのです。必要な経費だと考えるべきでしょう。

最終手段は「自分の持分を売る」

『相続の落とし穴! 共有名義不動産: 想い出がきれいなうちにトラブル解決』(合同フォレスト)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

すでに共有名義不動産となっていて、家族間トラブルに直面している人たちにも、有効な解決方法があります。それは自分の「共有持分」だけを手放す方法です。言い換えれば「共有の権利を他に譲る」ということです。実際に、先ほどの最悪なケースとして紹介した方も、第三者に持分を売却することで決着しました。家族関係の修復はできませんでしたが、問題から解放され、精神的負担を大きく軽減させることが叶ったのです。

もちろんこの持分売却にはさまざまな制限が付きます。買い取ってくれる相手を探さないといけませんし、値段交渉が必要ですし、その後の家族関係も踏まえないといけません。いわば最終手段といえますが、手際よく決着をつけ気持ちを楽にしたいなら、この方法しかないでしょう。

今後実家を相続する、もしくは相続させることになるなら、これらの知識は事前に身につけておきましょう。

松原 昌洙 中央プロパティー代表取締役

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まつばら まさあき / Masaaki Matsubara

住宅ローンアドバイザー(社団法人全日本不動産協会認定)、相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会認定)。1970年生まれ。2011年に、業界で唯一共有名義不動産の仲介を扱う株式会社中央プロパティーを創業。弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とともに問題解決に取り組む体制を確立。現在までに2000件以上のトラブル解決をサポート。その実績から、共有名義不動産問題の第一人者として知られる。著書に『あぶない!!共有名義不動産』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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