オーガニックコットン市場を開いた商社マン

ニッチ繊維を“大衆化”せよ!

オーガニックコットンの仕掛人は、いかにして道を切り開いたのか(写真は、伊藤忠商事の狩野哲郎氏)

 「オーガニックコットン」。農薬、化学物質の使用を厳格に制限された栽培方法によって、3年以上栽培された綿花を指す。

Tシャツ、ワイシャツ、タオル、ベビー服。現在は環境負荷の低い綿として普及が進んでいるが、実のところ、日本でオーガニックコットンが定着したのは、ここ数年のことにすぎない。

総合商社の伊藤忠商事に、この商品のブレークに大きく貢献した人物がいる。狩野哲郎(42)が、オーガニックコットンに出合ったのは2006年。入社以来、ほぼ一貫して原料綿取り扱いの最前線を走ってきた狩野だが、それは過去に扱ってきた商品とは180度異なるタイプの商品だった。

それまで狩野が担当していたのは、大手ファストファッション向けに原料を供給するビジネスだ。ユニクロ、GAP、バナナ・リパブリックといったブランドが急成長を遂げる中、各社の目まぐるしい開発サイクルに食らいつきながら、原料綿を販売し続ける。ボリューム勝負のビジネスで、狩野ひとりだけでも年100億円近くを売り上げていた。

一方、当時のオーガニックコットンの国内市場といえば、金額にしてせいぜい5億~6億円程度。タオルやベビー用品向けに、アメリカなどで栽培されたオーガニックコットンを、年間数百トン程度販売していた。このうち伊藤忠商事の国内取り扱いシェアは7割を超えていたが、売り上げ規模からして、社内では完全なニッチ商品だった。

「このニッチ繊維の市場を切り開いてくれ」。それが、会社から課せられた使命だった。

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