オーガニックコットン市場を開いた商社マン ニッチ繊維を“大衆化”せよ!

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小さなビジネスを大きく膨らませるための秘訣は――。そう尋ねてみると、「何よりも人づくりです!」と狩野は即答した。

20代の若手の頃、先輩から「仕入れ先や販売担当エリアのそれぞれに、1人ずつでもよいから腹を割って話せる人をつくれ」と指導され、愚直に実践した。そのときに培った人脈は、今でも狩野を支えている。ざっくばらんに相談ができるだけでなく、人を紹介してもらうなど、実際に手助けしてもらうこともある。そこから、新しい商談につながったケースも多い。

北島三郎が歌う「歩」のように

信頼し合える人間関係をつくるため、狩野は2つの習慣を心掛けている。

ひとつは、忙しいときでも“忙しい自分”を決して表面に出さないこと。多忙な素振りをしていては、周囲も誘いかけてはくれない。「めちゃくちゃ暇です、という言葉が口癖になるぐらいでちょうどいいと思う」(狩野)。

2つ目は、年上・年下にかかわらず、他者を尊敬する心を持ち続けること。

「相手に好印象を抱いてもらうには、テクニックよりも、まずは自分がその人を好きになってしまうこと」と狩野は言う。

座右の銘は「肩で風切る王将よりも、俺は持ちたい歩の心」。北島三郎の名曲「歩」の一節だ。成功しても驕らず、素直に人を尊敬できる心を持ち続けることが、営業マンの最前線を突っ走る狩野の信条である。

(撮影:尾形文繁)

 

西澤 佑介 東洋経済 記者

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にしざわ ゆうすけ / Yusuke Nishizawa

1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

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