脱・化学洗剤!新世代の“ケンカの売り方” 大手が陣取る日用品市場で奮闘する、若き起業家

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”新世代の洗剤”を作ったのは、アダム・ローリー(後列中央)とエリック・ライアン(同左)という2人の若き起業家だった (写真:Getty Images)

「ソープ・オペラ」ということばをご存じだろうか。昼過ぎから夕方までの時間帯に放映されている、テレビ・ドラマ番組のことだ。恋愛あり、不倫あり、家族の愛憎ありの、振り子の大きなストーリー仕立てが特徴の主婦向け番組である。

これがソープ・オペラと呼ばれるのは、石けん会社がスポンサーになっているから。石けんやシャンプー、洗濯洗剤や掃除用の洗剤など日用品を広く製造するメーカーは、アメリカの大企業、いや世界市場を牛耳る多国籍企業として、消費者の身の回りにいつも感じられる存在である。

あろうことか、アダム・ローリーとエリック・ライアンは、そうした数々の巨大企業が厳しい競争を繰り広げる洗剤市場に挑戦を挑んだのである。20歳代半ばの若者が2人で、新しいコンセプトを手に、泣く子も黙る巨大企業が陣取る洗剤市場を作り替えようとしたのだ。ムチャというしかない。

社是は、「汚いものに反対する人々」

2人が2000年に創設した洗剤メーカーのメソッドは、今や若い消費者を中心に大きな人気を誇る企業に成長している。12年度の売上高は1億ドル(約100億円)にも達する。同社の製品の特徴は、自然素材を原料にしながらも十分な洗浄力を備え、容器はクリーンでおしゃれで、野菜や花の香りがし、そして環境にも人間にも優しいというものだ。

メソッドの社是は、「汚いものに反対する人々」。汚いものというのは、不潔さや汚れだけではなく、これまで洗剤業界が普通に用いてきた毒性のある科学原料のことも指している。スプレーすると立ち上がるムッとするような臭気は、ともすれば清潔さの証とすら信じ込まされてきたのだが、それは化学原料の粒子。それを吸い続けることがいいわけはない。

何か新しいビジネスをやろうと考えていた2人が、「安全で健康な洗剤」という領域に目をつけたとき、古い業界は同じことを繰り返すばかりで、人々の安全や内なる思いも時代の流れもすっかり見落としていたことが明らかになったのである。

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