●学生は説明会でしか得られないものを期待している
私自身も経験があるのでよくわかるが、会社説明会の場でのプレゼンテーションは大変難しい。プレゼンテーションを難しくしている大きな要素のひとつに「参加学生の自社理解の深さに差がある」ということが言えるだろう。プレゼンテーションを効果的に行うためには、下記の「3つのP」を抑えておかなければいけない。
Purpose(プレゼンテーションの目的、目標、期待する成果)
People(聞き手の数や事前の理解度)
Place(会場、設備)
このうち、会社説明会を難しくしているのは二つめのPeopleの要素だ。People(聞き手の数や事前の理解度)
Place(会場、設備)
どうしても説明会には多くの人数に来てもらいたい。しかし、説明会に来る学生の中には、事前にインターンシップやオープンセミナーでその企業と接触しており、理解が深まっている学生もいれば、ホームページも見ずに申込みだけして、とりあえず参加した。という学生も存在する。中には、説明会の参加人数が少ないので、無理矢理呼び込んだような学生もいるかもしれない。
自社に対していろいろな理解度の学生が雑多に混じっている会場で、人事の方が犯しがちなのは、
「理解度が一番低い学生に合わせて話をしてしまう」
というミスだ。
ホームページを読めばわかるようなことを、読んでいない人のために一から説明する。そのために、既にその企業のファンになっている、隅々までホームページを読んできたような学生をがっかりさせてしまうことがある。
Q:説明会で聞きたい、知りたいと思っていたことは何ですか?(N=412、複数選択)
上のグラフを見ていただきたい。説明会で学生が知りたいことを聞いたグラフだが、要望が多い順に、「他社との違い」「仕事内容」「社風・雰囲気」「現場社員の話」という項目が並ぶ。これらの項目に共通している要素は何か。それは、
『学生は説明会でしか得られないものを求めて説明会に参加している』
ということだ。
他社との違いは、他社批判に繋がりかねないので、慎重に言葉を選んで直接伝える必要がある。仕事内容はホームページなどでも伝えているが、前述の上位3社のようにグループワーク等を通じて「仕事を疑似体験」できるような説明会を求めている。社風・雰囲気・現場社員の話、これらは、実際に社員と接することでしか得ることはできない。いずれも、学生にとって、説明会でしか得られない情報ばかりだ。
志望度が高い企業であればあるほど、「説明会でしか得られないもの」を学生は期待して来ている。志望度が高く、よく研究してきている学生は、そうでない学生よりも採用ターゲットとなる可能性は高い。これらのターゲット人材を集め、わざわざ「求めていない話」をするのは、採用活動において逆効果だ。
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