南インドの「美しい本」が人々を魅了する理由 本づくりの「あたりまえ」を実践する小出版社

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タラブックスの本の製作風景。印刷された紙は、製本歴50年の職人の手で1冊ずつ丁寧に本へと仕上げられる(撮影:松岡宏大)

南インド・チェンナイにあるちいさな独立系出版社「タラブックス」が、注目を集めている。当初は一部のアート・デザイン関係者や児童書出版界隈で知る人ぞ知る存在だったタラブックス。昨今では日本の大手出版社や大手商社などの企業までもが共同プロジェクトのラブコールを送るという。日々何百冊という本が世に出る現代で、彼らを抜きんでた存在にしているのはなんだろうか。

すべての工程がハンドメイドの本づくり

2017年11月、東京都の板橋区立美術館でひっそりとある展覧会が始まった。「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」は、美術館としては異例の、特定の出版社にスポットを当て彼らのこれまでの仕事を紹介するものだった。巡回展は韓国でも開かれ、多くの人が訪れている(11月からは静岡県ベルナール・ビュフェ美術館で巡回展が行われる)。

筆者自身がタラブックスに関する本を執筆したこともあり、この展覧会でも微力ながらお手伝いをしたが、口コミや皇后美智子さまご来場のニュースなどの効果もあったのだろう。来場者は日に日に増え、SNSではあちこちで話題になり、大きなうねりのようなものを感じたのを覚えている。

多くの人を惹きつけたタラブックスのいちばんの特徴は、やはりその本の美しさだろう。タラブックスで最も有名な絵本『The Night Life of Trees』(日本語版『夜の木』・タムラ堂刊)は、100%ハンドメイド。紙を漉くところから、シルクスクリーンによる1ページずつ手刷りの印刷、そして製本まで、すべての工程が人の手で作られている。

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