内田隆
皆さんは自分のコミュニケーション力に自信がありますか?リーダーシップの古典的大家であるハワード・ガードナーもコミュニケーション力は重要なリーダーシップスキルのひとつだと述べていました。また、MIT出身でシステムに強いとしてシティバンクのCEOに指名され、80年代からのシティバンクの躍進の立役者であるジョン・リード氏(ちなみに彼がヘッドハントしたのが八城政基元シティバンク日本代表です)がMITスローンに来校したとき、「対話力」が最も大切だと話されていました。
組織のトップならずとも、コミュニケーション力は誰もが伸ばしたいスキルのひとつでしょう。ですが「コミュニケーション力は何か?どうすれば強化できるのか?」と尋ねられても一言で答えられる人はそうは多くないものです。
一般に、コミュニケーション力を向上させる方法として良く聞くのは次の3つです。
1.優秀な先輩営業マンなどの話し振りなどを観察したり、セミナーで話し方を繰り返し練習することで強化するロールモデル。
2.論理的に話すことで理解されやすく、かつ相手の反論を減らすことができるロジカル・シンキング。
3.人の脳は「視覚」「聴覚」「体感覚」のいずれかを中心としたシステムであることから、相手の中心システムに合わせた説明の仕方をすることでコミュニケーションを図るNLP(脳神経言語プログラミング)の手法。
そのどれもが有効だと思いますが、各々欠点もあります。2.論理的に話すことで理解されやすく、かつ相手の反論を減らすことができるロジカル・シンキング。
3.人の脳は「視覚」「聴覚」「体感覚」のいずれかを中心としたシステムであることから、相手の中心システムに合わせた説明の仕方をすることでコミュニケーションを図るNLP(脳神経言語プログラミング)の手法。
1.ロールモデルは、自身で観察・吸収の仕組みをつくらなければいけないこと。また必ずしも良い先輩や教科書の例題が自分に合うかは不明です。
2.ロジカルシンキングは、論理的に説き伏せることに夢中になりがちで他人の感情を掴むことが疎かになりがちです。
3.NLPは、プログラム化されたパターンに従って行動することがいつも正しいとは限らないこと。例えば、子どもが何かしたときにあなたが怒ったとします。子どもには「○○すると怒られる」というパターンがプログラミング化され、○○をしなくなります。しかし、あなたがたまたま不機嫌だったり違った理由から怒ってしまい、普段だったら喜べた子どもの振る舞いだったとしても、子どもは既に怒られるとプログラミング化されているためコミュニケーションにミスが起こります。つまりそのときの心を占めているインタレスト(関心)によって、同じことを言われたとしても結果の振る舞いは異なることがあります。
以上より、第4の方法も学ぶ必要があるでしょう。と言うよりもどれか一種類学ぶだけではコミュニケーションに強くなるには不十分なのです。MITに先日寄稿された論文では4種類以上を同時に試すと4倍の確率で身につけることができるそうです。2.ロジカルシンキングは、論理的に説き伏せることに夢中になりがちで他人の感情を掴むことが疎かになりがちです。
3.NLPは、プログラム化されたパターンに従って行動することがいつも正しいとは限らないこと。例えば、子どもが何かしたときにあなたが怒ったとします。子どもには「○○すると怒られる」というパターンがプログラミング化され、○○をしなくなります。しかし、あなたがたまたま不機嫌だったり違った理由から怒ってしまい、普段だったら喜べた子どもの振る舞いだったとしても、子どもは既に怒られるとプログラミング化されているためコミュニケーションにミスが起こります。つまりそのときの心を占めているインタレスト(関心)によって、同じことを言われたとしても結果の振る舞いは異なることがあります。
そこで今回と次回では4番目のコミュニケーション力としてハーバード流ネゴシエーション(交渉術)におけるインタレストをベースとしたノンバーバル(非言語)コミュニケーション手法を紹介したいと思います。(参考:インタレストについては連載第12回をご覧ください)
コミュニケーションにおいては35パーセントが言葉、65パーセントがノンバーバルによって意志伝達が行なわれるとの研究があります。ですからノンバーバルは重要視しないといけないのですが、ジェスチャーや立ち方の姿勢または相手のふとした動作から感情やインタレストを読み取りビジネスに活かす勉強をした人はそうは多くないかと思います。
例として、ペルーのフジモリ大統領とエクアドルのマウア大統領が初めて会談したときのことを紹介します。当時ペルーとエクアドルは西半球で最も古いと言われた国境紛争を抱えていました。
マウア大統領にお目にかかった際、彼はこんな風に語ってくれました。
マウア大統領 「フジモリ大統領にお目にかかったとき私は大統領に就任して4日しか経っていませんでした。かたやフジモリ大統領は就任8年、南米で最も名声を勝ち得ていた大統領でした。しかも当時エクアドルの経済状態は貧窮しており、大国ペルーとの武力抗争が勃発することは大統領としては是が非でも避けたいことでした」
「そこで私は(ハーバード流交渉術の創始者である)ロジャー・フィッシャー教授に電話してエクアドルに来て適切な助言をしてくれるようお願いしました。そのとき、ダン・シャピロ(ハーバード交渉プログラム副責任者であり執筆者の知人でもある)にも来ていただきました」
読者の皆さんへの質問です。
質問) 初対面時の二人の大統領の感情やインタレスト(関心)を推測してください。
解答・解説は次回ご紹介したいと思います。
内田隆(うちだ・たかし)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
詳細プロフィールはこちらまで
HP: http://www.followdream.jp Email: info@followdream.jp
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
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