(第12回)セルフ・ネゴシエーション力を鍛え葛藤に強くなる

内田隆

 先日書店でセルフヘルプやセルフコーチングなどのセルフをキーワードにした棚を見かけました。第1回でお話したようにセルフリーダーシップを中心とした「セルフ力」がとても大切な時代になっています。
 これまで様々な事例を交えながらセルフ力をどう鍛えれば良いのかお話してきましたが、第9回(なぜ日本人は交渉が苦手なのか?)の続きとして今回は自分のなかにあるふたつの意見を上手に対話させる力についてお話をしたいと思います。

 セルフ・ネゴシエーション(自己交渉力)と呼ぶスキルです。

 セルフ・ネゴシエーション力が特に有効なのは、AかBかの相反するふたつの立場の間で自分自身が葛藤しているときです。私たちが悩むAかBかの選択には例えば次のようなものがあります。

A B 現実の
あなたの選択
仕事 家庭  
夢を追い求めること お金を稼ぐために嫌な仕事を続けること  
今休むこと 今しなければならないこと  
自分の意見を通す 上司の意見に従う  
営業部門(部下A)の意見を採用する 技術部門(部下B)の意見を採用する  
未来への投資 今日の支払い  
長期的視野にたった行動 短期的な結果を求める  
リスクをとり転職や起業する 今いる会社での安定  
一年間休養し夢を探す旅に出る 再就職やお金の不安、家族の反対に従う  
週末に家族と旅行する 家でゆっくり疲れをとる  
長女のお願いを聴く 次女のお願いを聴く  
(右欄に「あなたの選択」欄を設けました。「こちらを選びたい」という願望ではなく、「現実のあなたが選択していると思うほうの選択肢」を選んでください)
 このようなふたつの葛藤を上手に解決するために、セルフ・ネゴシエーションでは五つの要素を考えると良いでしょう。その頭文字をとってPICOM(ピコム)と私は呼んでいます(図1)。PICOMの基本的考え方は、自分自身のなかの交渉のみならず通常の交渉である第三者との交渉においても役立つモデルですので、通常の交渉を学びたい方にも大変参考にになるはずです。
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