(第12回)セルフ・ネゴシエーション力を鍛え葛藤に強くなる

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図1 セルフネゴシエーションの五要素PICOM
 第一の要素はPosition(立場)です。立場とは「何が欲しいか」の主張のことです。先の表で言えばA、Bそれぞれが立場を表します。
 第二の要素はInterest(関心)です。関心とは「なぜそれが欲しいのか」の動機・理由のことです。なぜ、AやBの立場を望んでいるのか、関心を見極めることは良い交渉を行なうための土台となります。優れたネゴシエーターほど関心を見極めることに長け、ほとんどの人が立場について交渉しているのに対して、関心について交渉します。
 第三の要素はCriteria(クライテリア)です。クライテリアとは、法律、業界の常識、市場価格、エキスパートの意見、他社のベンチマークや他人の事例など、第四の要素であるオプションが適当な選択肢であることを正当づけるのに用いられます。
 第四の要素はOption(オプション)です。オプションとはAとBの立場の裏にある関心を満たすことができる選択肢のことです。オプションを豊富に用意できるほど素晴らしい選択ができるようになります。
 第五の要素はMapping(マッピング)です。オプションを一列に並べることで、選択肢間の優劣を見極めた意思決定が可能です。なお上手な交渉をするには、自分のなかで納得できる最低ライン(交渉用語ではBATNAと呼ぶ)をきちんとしておくことです。

 図2は例として、「今いる会社で引き続き働きたい」自分と「転職したい」自分というふたつの自分の間でセルフ・ネゴシエーションするうえでの五つ要素PICOMを表してみました。最後に選択肢を自分のクライテリアでもってマッピングすることで、どの選択肢以上の選択をすれば自分自身が納得できるかわかるはずです。
 どの選択肢以上を選択するか、それは読者のみなさんひとりひとりによって違います。人によって立場も関心もクライテリアもオプションもマッピングの仕方もすべて異なります。より良い解を得られるようになるには少し訓練が必要ですので、はじめはプロにアドバイスを貰うことも良いでしょう。
図2 「転職」を例に5要素を考える
 決断とは複数ある選択肢のなかから自己交渉し、ひとつの選択肢を選んでいることだと考えられるならば、このセルフ・ネゴシエーションというモデルはあなたが仕事における日々の決断・意志決定の確度をあげるうえで大変有効です。セルフ・ネゴシエーション力を鍛えている人ほど良い決断ができる人です。そのような人は失敗する確率も減り決断に自信も持て成果を得やすいものです。
 あなたも上手な意思決定ができるビジネス・プロフェッショナルを目指してセルフ・ネゴシエーション力を鍛えてみてください。
内田隆(うちだ・たかし)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
詳細プロフィールはこちらまで
HP: http://www.followdream.jp Email: info@followdream.jp
内田 隆

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