なぜ、豆腐とガンダムがコラボできたのか? ガンダムファン社長が語る次世代を創る企業(下)

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往年の名作アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するメカをかたどった「ザクとうふ」(写真右下)が大ヒットした。仕掛けたのは、群馬県前橋市に本拠を置く「相模屋食料」。大のガンダムファンという鳥越淳司社長(40歳)はこの仕事が面白くて仕方ないらしく、制作時、容器メーカーに「形状が複雑すぎ生産できない」と断られても、自ら容器製造を学び、方法を提案。商品発表会では、人気声優が作中の名台詞をもじり「見せてもらおうか、相模屋の“ザクとうふ”の性能とやらを!」といいながら登場するなど、世間を大いににぎわせた。
だが、これは相模屋食料の一面を捉えたものにすぎない。同社は2007年に鳥越氏が社長に就任して以来、主力商品の「木綿」「絹」で一気に売り上げを伸ばし、地方の一豆腐メーカーから、一躍、日本のトップメーカーへと躍り出ているのだ。
取材・構成:夏目幸明 (ジャーナリスト)
「第三工場」で稼働する産業用ロボット

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自分が何を行なったか。誇っていいのはそれだけ

夏目:嘲笑われ、それでも貫くものが夢。すると味方も現れる、ということでしょうか……。鳥越さんは雪印乳業のご出身で、食中毒事件のときもさまざまなご苦労があったと聞いています。

鳥越:2000年6月末、会社から社員へいっせいに「いますぐ被害者の方にお詫びを!」と指示が飛びました。私も自社の乳製品で食中毒が発生したことは知っていましたが、これが想像を絶する規模だったのです。それからは毎日、被害者の方のお宅を訪ね、ひたすら土下座しました。多いときで、1日13回。罵声をいただくこともあれば、「兄ちゃん、頭を上げて。頑張ってくれればそれでいいんだから」といわれ、涙が出そうになったこともあります。

夏目:大阪の工場で起きた事件だけに、鳥越さんご自身に落ち度はなかったはずですよね。

鳥越:短絡的に考えればそうです。しかし、私は考え込みました。私にも悪い点はなかっただろうか、と思うと、実際にあったのです。雪印乳業は、製造部門と販売部門がきっちり分かれており、私は乳製品の営業をしながら、それがどのようにつくられるか、工場の研修で学ぶ程度しか知らなかった。まったく疑問をもたなかったのです。なんと他人任せだったことだろう、と思いますね。あと、私は営業系の社員がめざせる最高の職位である常務をめざしていて、営業成績もよかっただけに、プライドや誇りもありました。しかし、これって何だったんだろう? と思ったのです。

雪印乳業は食品業界2位。名刺をもっていけば、業界のほとんどの方にお会いいただけました。しかし、それは会社がすごかっただけ。もっている誇りなんて、最初からなかったものなんです。別の人間や組織がつくってくれたものに乗っかってもっていたプライドや誇りなど、その人や組織がコケればあっけなく崩れ去る。自分が何を行ない、経験したか。誇っていいのはそれだけなんですよ。

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