「視聴者提供」のニュース映像が激増した意味 増える災害、事件、事故のセーフティネットに

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まずは有事に備える意識を持ち、遭遇したらすぐに発信すること。さらに、メディアから映像、写真、コメントなどの提供依頼があったら応じること。つまり、“一億総ジャーナリスト化”することが、増え続ける災害、事件、事故から私たちを守る日本全体のセーフティネットになるのです。

あなたも当事者や目撃者の一人

セーフティネットという意味は、台風や地震などの自然災害だけではありません。私たちの日常生活に起こりうる事件にも効果があるのです。

たとえば、山口達也さんの強制わいせつ疑惑、日大アメフトの悪質タックル問題、日本ボクシング連盟の不正告発、日本体操協会のパワハラ騒動など、今年世間をさわがせたニュースにも、各現場での当事者や目撃者がいたのではないでしょうか。

「もし当事者や目撃者がジャーナリスト感覚を持って発信していたら、ここまで状況は悪化しなかったのではないか」と感じてしまうのです。「自分のことではないから放っておこう」と思うかもしれませんが、「明日は我が身」であり油断は禁物。オンデマンドなどの便利化やカスタマイズ化が進んだ分、一人ひとりが「良く言えばマイペース、悪く言えばワガママ」な傾向が強くなりました。

迷惑隣人やストーカーに悩まされたり、何らかのハラスメントで訴えられたり……というリスクは、どんな人も否定できないでしょう。ただ、幸か不幸か現在、私たちが住んでいるのは、スマホ、タブレット、デジカメに加え、個人宅の監視カメラやドライブレコーダーなども発達した監視社会。一人ひとりの日常生活を守るためには、一人ひとりがジャーナリスト化することが欠かせない時代になりつつあるのです。

一方、テレビに限らず、ネット、新聞、雑誌など各メディアのスタンスは、総じてウェルカム。むしろ、「一般人の発信力をもっとコンテンツに生かせないか」「そのことで速く、正確で、臨場感のあるコンテンツにしたい」と考えているものです。

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