だが、仮にアメリカの中間選挙で民主党が勝利を収める、大統領弾劾への動きが強まるなどアメリカの政治情勢への不確実性が高まることが、市場心理を悪化させるリスクシナリオとなっても、アメリカ株市場が持続的に下落に転じる可能性は低いと筆者はみている。
政治情勢が混乱しても、アメリカ経済の失速が回避されれば、株価下落などの市場の混乱が長引く可能性は低い。すでにトランプ政権で実現した大型減税政策が取りやめになる可能性は低く、また中国との関税引上げの悪影響を加味しても、2019年も財政政策などの後押しなどから、アメリカの経済成長が続く可能性が高い。
日本株の行方は結局アメリカ経済次第
アメリカについては、戦後最長の期間となる景気回復持続が視野に入る中で、FRBの利上げで政策金利が2%まで引き上げられ、また関税引上げなどの悪影響で、アメリカ景気のピークアウトを予想する声も聞かれる。
ただ、長期の実質金利水準が1%程度と低い水準にとどまっており、減税による恩恵が続く中で、個人消費の拡大は続く可能性が高い。実際に、アメリカの家計の可処分所得を占める負債比率は、1倍と過去3年とほとんど変わらず安定したままである。さらに、家計貯蓄率は6%と、2000年代半ばよりも家計貯蓄率はかなり高い水準にある。これらは、アメリカの個人消費には、依然拡大する余地が残っていることを示している、と筆者は考えている。
なお、日本株市場が日本側の要因によって今後大きく上昇する可能性は、現状あまり期待できないと筆者はみている。
10月に第4次安倍内閣が発足したが、主要経済閣僚の交代はなく、経済政策について大きな政策変更は想定されない。デフレ完全脱却が依然として政府の目標とされていることは心強い。
ただ、2019年10月に予定されている消費増税時の対策として、メディアでは財政支出拡大の観測報道がいくつか報じられている。
現状の報道を踏まえると、2019年度にかけて追加的な財政支出はインフラ投資拡大の積み増しなどで1兆円程度の規模とみられる。(1)税収増を大きく超える規模での歳出増加と国債発行拡大によって金融緩和効果を高める、あるいは、(2)消費増税先送り、のいずれかを実現しなければ、世界の投資家が日本経済や株式市場への見方を変える可能性は低いのではないか。
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