日本株市場が9月中旬以降、再び大きく反発している。といっても、TOPIX(東証株価指数)でみれば、年初来の騰落率はようやく欧州株に追いついた程度だ。「7月以降、下げすぎていた分が戻った」と位置づけるのが正しそうだ。日本では政治情勢が安定していることもあり国内要因で注目される材料は少なく、高値更新を続けるアメリカ株などの外部要因が上昇の主たる材料になっている。20日には安倍晋三首相が自民党総裁選挙で3選を果たしたが、この勝利も特段大きな影響は及ぼさないだろう。
リーマンから10年、いまだに「漠然とした危機感」
一方、海外株市場にとっても1つのリスク要因になっている米中貿易戦争については、9月24日からアメリカが中国からの2000億ドル相当の輸入品について、10%の追加関税をかける。
ただ、関税引き上げ自体はすでにアナウンスされており、当面の税率引き上げが10%にとどまったこともあり、米中経済への短期的な影響は限られるとの見方が強まった。2019年にはさらなる関税引き上げが予定されるなど、貿易戦争は終わらないとみられる。
それでもアメリカの中間選挙を11月6日に控えて、通商交渉が当面はネガティブな材料にはならないというのが市場の解釈である。現時点でアメリカの株式市場は最高値圏にあるが、夏場以降、関税引き上げの報道で日々上下に振れたり、新興国の株式市場に影響を与えたりはしたものの、大きな下げ材料になる場面は次第に少なくなっている。
アメリカ株の底堅さを背景に日本株市場が反発する中で、9月15日には2008年9月に起きたリーマンショックから10年が経過、それを材料に当時を振り返る記事がメディアに目立った。「危機から10年経過したのだから、また同じような経済混乱が起きるかもしれない」という漠然とした懸念を抱き、次の「危機の火種」への問題意識を持つ市場関係者は少なくないのだろう。
過去10年をどのように振り返るかについては、さまざまな見方や論点があるが、その中の1つの視点としては「リーマンショック後の経済政策運営」が挙げられそうだ。特に先進国の中央銀行(中銀)が行った大規模な金融政策について、その評価はさまざまだ。実際、多くの先進国の中銀が国債などの金融資産を大量購入することで、多くの中銀のバランスシートが急拡大した。
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