いったん持ち直すかに見えた日本株市場だが、9月以降は再び軟調になっている。世界の株式市場を見渡すとアメリカ株が好調で、それ以外の地域との対比で日本株が低調とまでは言えない。だが、トルコなど新興国株の弱さや中国経済への懸念が上値を抑え、またアメリカが仕掛ける通商交渉などのニュースフローとともに、海外株に連動することが多い。為替市場については、春先に円高が進む場面があったが、米FRB(連邦準備制度理事会)による緩やかな利上げが続く中、1ドル=110円付近で膠着している。
今の日本経済は良好なのか、悪化しているのか
一部の外国人投資家は、春先までは安倍政権退陣の政治リスクについてナーバスになっていた。だが、最近の内閣支持率の安定や、自民党総裁選挙をめぐる報道などから安倍政権が継続するとの見方が広がっている。安倍政権継続となっても株式市場などはほぼ織り込み済みで、日本の国内要因が日本株市場を動かす可能性は高くないだろう。
日本株などの主たる材料が海外要因になる中で、日本経済について国内外の投資家の注目は高くない。だが、経済成長率やインフレ率は企業業績に影響するので、以下で経済情勢について確認しておこう。
2018年の1-3月GDP成長率が年率-0.9%と落ち込んだ後、4-6月には同+1.9%にリバウンドした。4-6月のGDP成長率は同2%台に上方修正されるとみられ、それを織り込んでも2018年前半は年率1%程度の安定成長だった。そうした中で、企業業績は緩やかな増益基調を維持しているとみられる。
GDPなどの経済指標は経済安定成長、企業利益の緩やかな伸びを示しているが、2018年に入り予想外に一時改善していた経済指標があった。それは、家計の就労状況を示すデータで、年初から雇用が大きく伸びていた。
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