消費増税中止や金融緩和が日本経済に効く 日銀の利上げは結局、銀行にマイナスになる

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最新の日銀の政策には「緩和徹底」と「緩和軽減」の双方の政策が混在している。金融緩和の徹底が日本経済の浮上のカギを握る(撮影:大澤 誠)

8月10日のトルコリラ急落で、夏休みで市場参加者が少なかった世界の金融市場は一時大荒れとなった。だが、8月半ばにはアメリカ株市場は反発して、最高値圏を保っている。

広がるアメリカ株と日本株の「格差」

一方で、トルコショックの余波がより直接的に影響した新興国や欧州の株価は総じて低調に推移した。トルコの波乱の影響が相対的に小さいはずの日本株も、欧州株と同様に低調だった。後述するが、日本銀行によるETF(上場投資信託)購入減額への思惑も重なったことから、ドル円が1ドル=110円前後で安定しているにもかかわらず、底堅いアメリカ株と低調な日本株のパフォーマンス格差はさらに広がっている。

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2018年8月半ば時点で、アメリカ株のみが年初来で明確にプラスのリターンとなっており、さらに同国の金利およびドルも上昇している。トランプ政権の政策が金融市場にとって大きな不確実性となっているが、アメリカ経済は高成長が続き、FRB(米連邦準備制度理事会)による緩やかな利上げが正当化されるような状況にある。このため、冒頭のトルコなどの外的ショックの余波も限定的となり、2018年初から続くアメリカ株の優位が依然保たれている状況だ。

アメリカでは、緩やかな利上げを続け、2%付近のインフレを安定的に維持しながら、2017年末に実現した減税政策の効果などで堅調な経済拡大が続いている。中国を中心に各国に仕掛けている通商政策は企業活動を阻害する政策だが、この悪影響も、適度な総需要刺激政策によって吸収されていると位置づけられる。

金融市場で独り勝ちとなっているアメリカだが、その対極が冒頭に紹介したトルコである。8月10日のトルコリラの大幅下落のきっかけは、アメリカとの外交関係で緊張が高まったことが大きいが、これまでのトルコの経済政策の失敗がその遠因になっている。足元で10%以上のインフレを容認する経済政策運営に対する不信感が根強かったため、通貨の大幅下落が起きた。2018年は世界の政治・経済情勢がより不確実になる中で、各国の経済政策の優劣や信認が、金融市場のパフォーマンスを左右するようになっている。

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