はっきり明示されているわけではないが、低金利が長期化することで、銀行など金融機関の収益が減り金融仲介機能が弱まり、それが経済活動に悪影響をもたらすリスクが「緩和の副作用」の本質とみられる。
なお、現段階では貸出やサーベイ・データなどからは金融機関に変調はみられず、副作用緩和は、今後のリスクに備える政策対応という位置づけである。
この「潜在的な副作用」を重視する論者は、低金利が長引いたことによる利ざや縮小が「副作用の現れ」であると問題にする。しかし、仮に日銀による利上げで銀行の貸出金利水準が早期に上昇しても、それが金融機関の収益を高めるかは別の問題であろう。
というのも、全般的な金利上昇が景気抑制的に作用して信用リスクが高まることで、最終的には金融機関の収益を減らす可能性があるためである。
金融緩和徹底や増税取りやめが緩和の副作用和らげる
金融機関を通じた「緩和の副作用」が今後強まるとしても、その弊害を和らげるために経済情勢を軽視して低金利是正を進める政策は、妥当とは言いがたい。
むしろ、金融緩和を徹底することで実質金利の低下を図り、インフレ率を高め、名目経済成長率や貸出総量を増やし、クレジットコストを低下させることこそが、金融機関を通じた「緩和の副作用」を本質的に和らげるのではないだろうか。
2018年初からのアメリカ株対比での日本株のアンダーパフォーマンスはすでに相当広がったため、それを年内に解消するのは難しいかもしれない。
もしこの格差を縮小するには、どうすればいいだろうか。やはり2019年の消費増税のネガティブ・インパクトを完全に相殺する大規模な財政発動(増税取りやめが最善だろうが)、金融緩和の副作用を本質的に減らすためのインフレ率を高める緩和徹底・強化などの政策が必要になると思われる。
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