なぜ主要3通貨はあまり動かなくなったのか

新興国通貨がもっぱら下がっている

主要3通貨はあまり動かなくなっている(写真:ロイター/Jason Lee)

トルコ中央銀行は9月13日の政策決定会合で「政策スタンスを調整する」との声明を出した。結局、いくら意地を張ったところで通貨急落に対する手段はいくつもあるわけではない。最も根本的な手段としては「利上げ」、市場心理安定のためには「IMF(国際通貨基金)への支援要請」、対米緊張緩和のためには「アメリカ人牧師の解放」などが期待されていたが、通貨危機に対処するには「まず利上げをしたうえで次に何ができるか」を考えることが多い。

今回の声明は利上げを示唆したものと考えられるが、声明によりトルコリラが急騰するような動きは見られていない。事の発端が対米関係のこじれにあるため、利上げのみでは不安の解消には至らないということなのだろう。

新興国通貨が忌避され、ドルは昨年の下落から回復

新興国から資金が流出する事は、それがショックに発展するかどうかは脇において、避けがたいものがある。主要通貨の名目実効為替相場(2国間でなく複数の通貨の中での相対的な位置を示す)の動きを見ると分かるが、昨年こそドルが全面安となり相応の調整が進んだものの、今年に入りその調整分はすべて取り戻してしまった。

通貨別に見れば、対ドルで年初来の上昇を実現しているのは円とメキシコペソだけであり、そのほかの通貨は基本的にすべて下落している。ドル相場が調整(下落)しない理由は、米国への資本流入が旺盛であるという事に尽きるが、こうした資本の出どころが新興国となっているのが現状であり、そのあおりを最も派手に食らって、資本流出が続ているのがトルコやアルゼンチンという整理になる。

両国ほど危うい新興国は少ないにしても、FRB(米国連邦準備制度理事会)が世界の資本コストであるアメリカのFF金利(フェデラルファンド・レート、政策金利)を引き上げており、FRBのバランスシート縮小も始まっている以上、今後「相対的にリスクの高い資産市場」からは資金が抜けていくしかない。それが新興国市場や社債市場なのであり、たとえば後者について言えば、クレジットスプレッドの拡大は年初から米国でも始まっている。 

この際、「相対的にリスクの高い資産市場」としてユーロや円といった主要通貨は対象になっていないことも注目したい。年初来でドルは独歩高となっているが、かといってユーロや円が下落しているわけではない。たとえば、ユーロは確かに対ドルで年初来3%下落したが(7月27日時点)、名目実効為替相場はむしろ上昇した。なぜか。もちろん、「対ドルでのユーロ売り」を超える「対他通貨でのユーロ買い」のインパクトが勝ったからである。

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