トルコ以外の新興国も資本流出が本格化する

FRBの利上げ継続が原因、先行きを甘く見るな

トルコのエルドアン大統領は「経済テロリストがトルコを標的にしている」とするが(写真:ロイター/Kayhan Ozer/Presidential Palace/Handout via REUTERS )

金融市場にはトルコショックの余波が続いており、ドル円相場は1ドル=110.50~111円の直近安値圏で推移している。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は利上げも国際金融支援も退け、米国による追加関税拡大の原因となっている米国人牧師解放にも応じず、ひたすら流動性供給と資本規制だけで対応している。そんなスタンスが市場から評価されるはずもなく、混乱がはっきりと収束する見通しは今のところ立っていない。13日にはこの流れを受けて通貨安に歯止めがかからなくなったアルゼンチン中銀が主要政策金利を従来の40%から45%に引き上げている。後述するように、こうした連鎖は相応に続く可能性がある。

筆者はアメリカが利上げに耐えられるとしても新興国がそうとは限らないという論点を繰り返し強調してきた。そうした懸念の背景にはFRB(連邦準備制度理事会)の緩和環境を前提として新興国に流入していた巨額の資本の存在がある。

ここで少しだけ過去を振り返ってみたい。2010年以降の新興国投資ファンドへの累積資本流入額を見ると、欧州債務危機を横目に見ながらFRBが金融緩和の強化に励んだ結果、一方的な流入が続いた。しかし、2013年5月の議会証言でバーナンキFRB議長(当時)が段階的な量的緩和(QE)の縮小(いわゆるテーパリング)を示唆すると一気に逆流へ転じ、2016年初頭までの約2年半にわたって資本流出が続いた。

いわゆるテーパータントラム(Taper Tantrum、Temper Tantrum「かんしゃく」をもじったもの)が取り沙汰された時期であり、これがFRBの正常化プロセスのペースにブレーキをかけたこともあった。ちなみに、同期間は新興国経済の景気減速局面と合致している。たとえば途上国全体のPMI(購買担当者景気指数)などを見ると、2015~16年初頭にかけては好不況の分かれ目とされる50を割り込む状態が定着した。先進国および世界全体では50を超えていたが、新興国だけは50割れとなっていた。

2016年入り後に原油価格が1バレル=30ドルを割り込んだのはFRBの緩和縮小に伴い投機資金が縮小したこともあろうが、そもそも新興国経済の停滞により実需が縮小したという側面もあっただろう。FRBの緩和縮小で資本流入が細ったために(資源国でもある)新興国の成長が減速したのか、それとももともと新興国の景気循環縮小局面だったのか、もしくはその両方だったのかは定かではないが、この局面ではNYダウ平均もほぼ横ばいとなり、ドル円相場の一方的な上昇も反転するなど、市場全体で元気のない局面であった。さしずめ、FRBの正常化プロセスに伴う第1次資本流出とでもいうべき局面だろうか。

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