トルコ危機は国際金融危機に発展するのか エルドアン政権の対応次第で回避できる

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アメリカのトランプ政権と強硬派のエルドアン政権との関係悪化がリラ安に拍車をかけた。写真は7月のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議(ブリュッセル)でのトランプ大統領とエルドアン大統領(写真:ロイター/kevin Lamarque)

国際金融市場では、トルコリラの急落が市場のマインド悪化を引き起こして株価の下落を招いている。新興国からの資金流出圧力は強まり、「新興国リスク」に再び市場の意識が向かっている。

折しも、アメリカはFRB(連邦準備制度理事会)による金融政策正常化、利上げのプロセスにあり、これに伴い金融市場では米ドル高圧力が強まり、新興国通貨には下落圧力が掛かりやすい地合いが続いてきた。トルコリラについてはトルコ政府及び中央銀行による政策運営のつたなさも相場の重しになってきた。さらに、ここへきて米国との関係悪化が加速した。

7月末以降、 2016 年に発生したクーデター未遂事件に絡んでトルコ当局が拘束していたアメリカ人牧師の身柄をめぐって、アメリカのドナルド・トランプ政権が即時釈放を求めるとともに、トルコの2閣僚に対する制裁措置を発動するなど強硬策に出た。これに対抗して、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領もアメリカ政府の2閣僚への報復制裁を発表。それに対してトランプ政権はトルコに対する一般特恵関税制度(GSP)に基づく非関税アクセスの見直しを発表するなど制裁の応酬が繰り広げられている。

その後も、トランプ大統領は通商拡大法 232 条に基づく鉄鋼製品及びアルミ製品に対する制裁関税措置において、トルコに対して税率を倍に引き上げる決定(鉄鋼製品:25→50%、アルミ製品:10→20%)を行い、自身のTwitterで「トルコとの関係は現在良くない!」と発信したことでリラ安圧力に拍車が掛かった。

トランプ政権の通商・外交政策が及ぼす悪影響

このところのリラ相場の急落は、新興国通貨安の流れを大きく後押ししている。こうした動きを、2013年のバーナンキFRB議長(当時)の量的金融緩和縮小を示唆する発言をきっかけとした「テ―パータントラム」(Taper Tantrum)や、2015年の中国当局による事実上の人民元切り下げをきっかけとする「チャイナショック」などの国際金融市場の動揺と対比する見方も出ている。

トルコ同様に経常赤字や財政赤字といった「双子の赤字」を抱えるなど経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な新興国を中心に資金流出圧力が強まっており、為替、株式、債券のいずれも下落する「トリプル安」状態となっている。

さらに、ドナルド・トランプ政権による「アメリカ第一主義」をうたう保護主義的な通商政策や外交政策などは、中国やロシア、イラン、メキシコなどさまざまな国との間で軋轢(あつれき)を生んでおり、米国による経済制裁が実体経済にも悪影響を与えることも懸念される。

特に、一昨年以降の世界経済の自律回復の動きは世界貿易の底入れと足並みを揃えており、米トランプ政権が実施している貿易制裁をきっかけに世界貿易に下押し圧力が掛かれば、世界経済の足かせとなることも考えられる。世界貿易の頭打ちは、経済構造面で輸出依存度が相対的に高い新興国経済の下振れリスクにつながりやすく、こうした見方も新興国からの資金流出懸念を後押しする要因になっている。

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