金の「安全資産」としての価値は消えたのか? 金利が上がるならGOLDを持っていても損?

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金の価格が冴えない。もはや安全資産としての価値も消えつつあるのだろうか?(写真:つきあかり/PIXTA)

金価格が低迷している。4月半ばに1トロイオンス=1365ドルの高値を付けて以降、現在は1200ドル台前半で推移している。米金利先高観を背景としたドル高傾向を背景に、4月の高値からは10%以上も下落していることになる。

「安全資産」としての「金の神話」は消えた?

しかし、結論から言えば、現在の金価格の水準は明らかに割安であり、いずれ大きく値を戻す可能性が高いだろう。現在の金価格が安値で推移しているのは、市場参加者の多くが金利と金価格の関係を正しく理解していないことにあると考えられる。

最近は「安全資産としての買い」が金に入らなくなっていることも、金相場の低迷の背景にあるといえる。米中貿易戦争や米欧の関税問題など、政治・経済における不安材料が目白押しのなか、投資家はむしろ金保有を減らしているのが実情である。

また、地政学的リスクの高まりにも反応が薄い状況にあることも金価格の低迷につながっている。イランのハサン・ロウハニ大統領が、米国の対イラン敵視政策を「あらゆる戦争の母」と批判したことに対して、アメリカのドナルド・トランプ大統領はツイッターで「絶対に、永久に、再びアメリカを脅迫するな」と応戦したことで、地政学的リスクが高まったが、安全な資産の逃避先とされる金への買いは膨らんでいない。

このような状況を裏付けるのは、世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・トラストの保有高の推移である。保有高は7月16日には794.01トンにまで減少し、節目の800トンを割り込んだ。これは昨年8月以来の低水準である。その後は800トンをわずかに回復しているものの、投資家の金への関心が回復し始めているとは言い難い。

もっとも、近年は800トンを割り込むと、おおむねその水準が底になり、金価格も反転し始める傾向がある。金を手放してもよいと考えている投資家の多くは売り切った可能性もある。

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