金の「安全資産」としての価値は消えたのか? 金利が上がるならGOLDを持っていても損?
ただし、市場は前頁のような名目金利だけを見ているようである。金利の上昇は今後も続くと思われるが、一方で米国のインフレ率が高まっていることも忘れてはならない。
原油価格上昇なら米の実質金利が低下、金価格の上昇も
米国の消費者物価指数(CPI)は原油相場と連動しているが、そのWTI原油は依然として高止まりしており、今後は需給ひっ迫を背景に、さらに上昇する可能性もある。
米シェールオイル産油量の伸びが明らかに鈍化し始めており、このままでは堅調な需要を支えられなくなるというリスクが高まっている。
原油高が続けば、現在は半ば無視されているインフレ圧力が高まり、インフレ率を考慮した米国の実質金利はさらに低下する可能性がある。
米実質金利と金価格の関係を基にした筆者が想定する金価格の理論値は1450ドルである。現在のように理論値から200ドル以上も乖離した場合には、実質金利に回帰するのが過去のデータからはっきりしている。
また、米CPIが前年比2.1%となった場合、金価格は1年後には7.3%、2年後には16.7%上昇している。さらに、3%を超えた場合には、1年後に11.1%、2年後に25.1%上昇している。
目下のところ、米10年債の利回りは2.9%前後だが、3%を超えても名目金利の上昇が抑制されたままでCPIが上昇するなら実質金利が低下するため、金相場は上述のように高い上昇率を示現する可能性がある。
このような客観的なデータを基に考えると、現在の金価格の水準が異常値ともいえる割安圏にあることがわかる。
市場参加者の多くが金相場に悲観的な状況にあると考えられるが、このような状況のときにこそ、投資機会があるといえる。1年後に金相場がどのような水準にあるのか、過去データが正しく機能するのかも含めて注目していきたいところだ。
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