なぜ日本人はトルコリラで大損をするのか 年利17%以上なのに儲からないのはなぜ?

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なぜ日本人は高金利のトルコリラで大損をしてしまう人が多いのだろうか(写真:m3ron / PIXTA)

高金利通貨の代表格の一つ、トルコリラの安値が続いています。7月24日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合で1週間物レポ金利(主要な政策金利)を据え置いたことで、利上げ反対を表明してきたレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に配慮した決定(中銀の独立性への懸念)だと受け止められ、トルコリラは対円で大きく下落しました。新興国通貨ではトルコリラはブラジルレアルと同様、日本の個人投資家の関心も高いのですが、筆者のまわりでも、「トルコリラ投資で大損を被ってしまった!」という話をよく聞きます。しかも何度も繰り返されている話です。

では、なぜ日本の投資家はトルコリラ投資で失敗するのでしょうか? これを「行動ファイナンス」の3つの視点から見ていきたいと思います。

「目に見える金利の高さ」につられてしまう?

まず、行動ファイナンスのお話を簡単にします。行動ファイナンスとは、 ファイナンスの分野に心理学の概念を取り入れたものです。実際のマーケットにおいては理論通りにならないことが多々ありますが、まさに理論と現実のギャップを埋めるため、伝統的なファイナンス理論(ファンダメンタルズ分析など)への「対立概念」として登場した理論と言われています。

行動ファイナンスの理論では、市場は合理的に決まるのではなく、非効率なものだと考えます。株価や為替はマーケット参加者の感情に左右され、合理的とは言えない投資家の意思決定などにより、適正価格を逸脱したモメンタム(勢い)やバブルが生じると説明しています。

わかりやすくいうと、「投資家にはなんらかのバイアス(偏見、ゆがみ)がかかってしまう可能性があり、合理的な投資判断を行うことはなかなかむずかしいですよ」と言っているわけです。前置きが長くなりましたが、この行動ファイナンスの理論を用い、日本の投資家がトルコリラ投資で失敗してしまう背景を「3つの視点」から探っていきましょう。

まずはひとつ目です。日銀は7月末の金融政策決定会合で「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」とした政策金利のフォワードガイダンス(指針)を導入しました。しかし、黒田日銀総裁は「不確実性を踏まえて当分の間、極めて低い長短金利を維持することにコミットした」とコメントしています。日本の長短金利は今後も0%近辺での推移が予想され、海外(特に新興国)との金利差は依然として大きいと言えましょう。

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