なぜ日本人はトルコリラで大損をするのか 年利17%以上なのに儲からないのはなぜ?

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一方、トルコ中銀は、4月から6月にかけて3回の会合を開き、合計で5%の金利を引き上げました。7月24日の政策決定会合では利上げを見送りましたが、依然として年17.75%と高水準です。日本円を100万円普通預金(仮に年率0.001%とすると)に預けたとしても1年で10円の利息(税引き前)しか入らないのに、トルコの高金利(仮に17%の金利なら、1年間で税引き前17万円の利息、手数料などを除く)は、一見とても魅力的に映るでしょう。

投資する通貨の「先行きの物価上昇率」を見ているか

では、トルコリラは17%を上回る高金利なのだから「買い」と判断してもいいのでしょうか?

相対的購買力平価(為替レートは2国間の物価上昇率の比率で決定される)に基づけば、日本の物価が低下すれば円高要因になる一方、トルコの物価が上昇すればトルコリラ安要因になります。場合によってはトルコリラの高金利によるインカムゲイン(金利収入)以上にキャピタルロス(値下がり損)を抱えてしまうリスクが高まることになります。

もう少しわかりやすく言います。トルコの物価が20%上昇し、日本の物価がほとんど変わらない場合、単純化すれば相対的購買力平価からトルコリラは20%下落することになります。すると円をトリコリラに替えて17%の金利をもらっても、逆に実質的には損をしている状態になります。

為替は先を予想しながら動いています。つまり、トルコリラをここから買っていいのかを判断するには金利水準とともに先行きの物価上昇率の差も一つの判断材料として投資する必要があるということでしょう。

ちなみに足元の物価上昇率を見ると、日本の6月のインフレ率(消費者物価指数)は前年同月比で1%未満の伸びとなる一方、トルコの6月のインフレ率は同15%を超えています。相対的購買力平価からは大幅な円高・トルコリラ安が示唆されており、こうした物価上昇率の差を事前に織り込みながらトルコリラ安がもたらされていた可能性も考えられるでしょう。

上述したように日本国内の金利が非常に低いため、日本とトルコの将来の物価の伸びの差などを考慮せず、「表面的な、目に見える高金利」(名目金利の高さ)や為替取引での「短期での金利受け取り」(2通貨間の金利差であるスワップポイントなど)による心理的な安心感に、日本の投資家が飛びついてしまっている状態です。まさに「近視眼的な心理バイアス」が日本の投資家がトルコリラ投資で失敗してしまう一つの要因なのではないでしょうか。

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