なぜ日本人はトルコリラで大損をするのか 年利17%以上なのに儲からないのはなぜ?

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実は、質問1、質問2とも、(a)と(b)のどちらを選択しても期待値における損得は変わりません。しかし、この2つの質問に対してほとんどの人が両方とも(a)の選択肢を選ぶことが多いのです。

「行動ファイナンスの視点」を身につけよう

人は、自分に有利な場面ではリスクを避け、自分に不利な場面ではリスクを好む特性、つまり、利食いを早く、損切りが遅れるといった合理的とは言いづらい判断をしてしまう性質があることを示唆しています。

こういった投資家の特性がトルコリラ投資で利益を早期に確定する一方、ロスカットはなかなかできず、塩漬けにして損失を拡大していくことになります。

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また投資家は損失を抱えた場合、損失を取り戻そうとリスクを採って「一か八かの賭け」に出ることも知られています。トルコリラの損失が拡大すればするほど、一気に損失を取り戻そうとした投資行動を行う(FXであれば、今までの損失を取り戻そうと投資金額を増やしたりレバレッジ比率を引き上げたりする)。過剰なリスクをとってしまった結果、2018年も引き続きトルコリラ安が進んだことでさらに損失を膨らませてしまったのではないかと考えています。

以上、行動ファイナンスの「3つの視点」から「なぜ日本の投資家はトルコリラ投資で失敗してしまったのか?」について見てきました。今後は行動ファイナンスの本質を身につけ、自分自身が陥りやすいバイアスやマーケット参加者の心理状態を客観的に把握することに努めてほしいと思います。そうすれば、トルコリラ投資の効率を少しでも上昇させられるかもしれません。

さらに、筆者にもうひとつ言わせていただければ、「投資家のトルコリラ投資の最大のリスク」とは「頭で理解しても結局、行動が伴わない投資家」になってしまうことだと思います。トリコリラに限らず、個人投資家の皆さんがこれを読んで自分の投資に少しでも活かしていただけるのなら幸いです。

中村 貴司 東海東京調査センター 主任調査役 シニアストラテジスト

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なかむら たかし / Takashi Nakamura

日系、外資系証券、損保・証券系運用会社でアナリスト、ファンドマネージャー等を経て現職。ファンダメンタルズ分析にテクニカル分析や行動ファイナンス理論を組み合わせた投資戦略、市場分析を重視。国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。日経CNBC等での出演のほか。日経新聞、QUICKなどでもコメント・執筆。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「ファンドマネジメント講座」などで講師を務める。

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