「日経平均は11月以降下落する」と考える理由 上昇は終盤戦、そろそろ「警戒」が必要だ
なぜ足元の日本株は上昇基調を強めたのか
足元の日本株が上昇基調を強めている。日経平均株価は、前週末の金曜日(9月28日)はザラ場高値が2万4286円と、今年のザラ場高値(というより、バブル崩壊後の高値)であった1月23日の2万4129円を上抜けた(終値ベースではわずかに足りなかった)。
こうした株価上昇が見込まれていたことや、当面の高値の時期と価格のメド、その後のシナリオについては、筆者が講師を務めるセミナーでは繰り返し説明してきたし、週刊のメールマガジンでも毎号掲載している。加えて、テレビやラジオ等でも一部解説したことがあるので、すでにそれを聞いたことのある人にとっては「もう知ってるよ」ということだろう。
ただ、この東洋経済オンラインのコラムでは、当面(向こう1週間程度)の展望に力を置いて書いてきた。そのため、読者にとっては「馬渕さんの『中期的な株価シナリオ』は読んだことはない」という方も多いのかもしれない(実際は中期的な展望も入れて書いているのだが)。そこで今回は、株価が足元弾みをつけているだけに、逆に「長めの展望」を提示すべきだと考え、中期的な見解を述べたい。
まず、なぜ足元の日本株が上昇基調を強めたのか、というところから背景を説明しよう。要因は主に3点あると考える。全て前回のコラム「日米通商協議が難航しても株価は上昇する」で書いたことだが、大事なので一部重複をお許しいただきたい。
1つ目は、5~8月に、日経平均が何度も2万3000円前後で跳ね返され、「2万3000円台が定着するはずがない」という、根拠のない弱気にとらわれた向きが多かった、ということだ。
2つ目は、前回のコラムの副題の通り、「トランプ山」よりも大きなイノシシは出ないということだ。つまり、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、たとえば「対中貿易戦争」について、「まず500億ドル分の輸入に対して関税引き上げだ、いや、2000億ドル追加だ、いやいや、最終的には全輸入に対して高関税だ」と、大風呂敷、大山をすでに示してしまった。市場はその大山をある程度織り込んでおり、その山よりも大きなイノシシ(実態)は出ない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら