「日経平均は11月以降下落する」と考える理由 上昇は終盤戦、そろそろ「警戒」が必要だ

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つまり、日本企業の収益の堅調さを評価して、国内外の長期筋が幅広く現物株を買うことで、TOPIXは強く支えられるが、日経平均は先物の利食い売りでTOPIXほどは上昇しない、という展開になると見込んでいる。結果として、TOPIXの予想PERが14.5倍に達しても、上記の試算値(2万5400円水準)までには日経平均は上がらず、せいぜい2万5000円程度の上値にとどまると考える。

その後、株価は2019年の半ばに向け下落する懸念

問題は、さらにその先である。筆者は2019年央に向けて株価は下落し、日経平均は2万円前後の攻防になると懸念している。この部分については弱気シナリオと言っていいだろう。

まだ少し先のことであるため、その弱気シナリオの要点のみを述べると、2019年はアメリカの景気が後退に陥り、それが国内経済に悪影響を与える(加えて消費増税が重石)うえ、米株安、米ドル安(円高)が進展して、それも日本株を押し下げると予想する。

アメリカの景気が後退する理由は主に以下の3つだ。(1)足元の米景気が強いうえ、それに今年初から法人減税を乗せてしまったため、その反動が懸念される、(2)同国の景気の足元の強さに対応するため、連銀が利上げを継続し、金利上昇が米景気にブレーキをかける(既に自動車販売はピークアウト、住宅市場にも陰りが出始めている)、(3)保護主義的な通商政策で、家計や企業のコストが増加する、だ。

では、今、日本株を思い切り買って、11月の日経平均2万5000円で思い切り売って、来年の2019年6月頃に思い切り買った方がよいのか、と尋ねられれば、当コラムの読者の方はよくご存じだと思うが、筆者の見通しは外れることも少なくないので、そうした売買はお勧めしない。

しかし、日経平均が2万5000円辺りに達してからあわてて買い出動し、来年2万円辺りに下落してからパニックになって売る、ということだけは避けていただきたいと思う。

こうした大きな流れの中で、今週の日経平均株価は、短期的な株価上昇に対する警戒感や利食い売りもあると考え、2万4000円台を固める展開が主流となり、2万3900~2万4400円で上下動すると予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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