「日経平均は11月以降下落する」と考える理由 上昇は終盤戦、そろそろ「警戒」が必要だ
ただ、こうした好材料が、完全に明らかになるまで国内株価が動かないわけではなく、先回りで織り込み上昇すると予想する。そして、11月のさまざまな好材料が打ち出される間には、日経平均はそれを消化してピークを形成する、という展開になるのだと見込んでいる。
日経平均の上値は2万5000円程度か
では、11月まで上昇するとして、代表的な日経平均株価は「どこまで」上がるのだろうか。筆者は、2万5000円程度だと予想している。
「なんと低い上値見通しか」と感じる読者の方も多いだろう。だが、これまで筆者が講師を務めるセミナーにご参加くださってきた方は証人になってくださると思うが、年初来、日経平均の上値見通しは2万4000~2万5000円とし、一貫してほとんど変えてない(1~2月時点の見通しは年内上値2万4000円、3月以降は年内上値2万5000円で変えず)。変える必要を感じないからだ。
最近までの国内株価は、予想PERでみて売られ過ぎだった、それが今は適正な水準に戻っているだけだ、と前述した。TOPIX(東証株価指数)の予想PER(先行き12カ月ベース、米ファクトセット調べ)は、第2次安倍政権下では、概ね13~16倍で推移してきた。足元の株価上昇の起点となった9月2週目(14日(金)に終わった週)の平均では、予想PERは12.8倍と、13倍割れだった。この13倍割れは、最近では2016年1月の世界同時株安から同6月のブレグジット(英国のEU離脱)に至る局面で生じたので、その頃に次ぐ「売られ過ぎ」だった、と言える。
このTOPIXの予想PERが、レンジの中央値の14.5倍まで戻ることは、自然だと言えよう。PERの計算に用いている、1株当たり利益予想値が当面変わらないとすれば、9月第4週平均値で13.66倍のTOPIXの予想PERが、株価上昇だけで14.5倍になるには、TOPIXが14.5÷13.66倍になればよい(6.1%の上昇率)。日経平均とTOPIXが同じ率で上下するという前提を置けば、その時の日経平均は、同週平均値の2万3952円から、6.1%上昇することになる。それは、約2万5400円に相当する。
しかし、今のNT倍率(日経平均株価÷TOPIX)はかなりの高水準にある(13.27倍)。それは、足元の日経平均が、海外短期筋の日経平均先物買いにより、吊り上げられている可能性を示唆している。その先物の買い上げは、今後剥落するのではないだろうか。
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