アメリカで物議「日本型経営」法案の衝撃内容

過剰な株主重視から対極な動きが出てきた

「株主重視モデル」を覆す提案をし、物議を醸しているエリザベス・ウォーレン上院議員(写真:Yuri Gripas/Reuters)

日本の改革派がアメリカ型株主資本主義を目指すべきとの主張を続けている一方で、アメリカには国をその対極へと導こうとしている政治家がいる。中でも注目すべきは、2020年のアメリカ大統領選で民主党の有力な指名候補となると見られる、エリザベス・ウォーレン上院議員だ。

最近ウォーレン上院議員は、しばしば日本特有のものと見なされることの多いステークホルダー・モデルへアメリカを移行させることを目的とする「Accountable Capitalism Act(責任ある資本主義法)」を提案した。ウォーレン議員は、過去30年にわたって広がりを見せてきた株主重視モデルを覆し、アメリカ企業と労働者がともに豊かだった、それ以前の時代へ回帰することを目指して草案を作成した。

年間売上高が100億ドルを超える企業が対象に

ウォーレン議員の法案はあまりに非現実的で、この内容で今の議会を通過できるはずがない、と即座に切り捨てた人たちもいる。彼らの意見はもっともだ。しかし、彼らはより「大きな点」を見落としていた。それは、ウォーレン上院議員は、アメリカにおける富と権力の格差の根底にある要因について議論する実質的なたたき台を提供し、取りうる対応策は何かを探る一歩を提案したということである。

この法案では、年間売上高が100億ドルを超える企業に対して、連邦政府から「コーポレート・シチズンシップ遵守認定」を得ることを義務付け、経営陣は、株主のみならず、従業員、顧客、地域コミュニティをはじめとする全ステークホルダー(利害関係者)の利益について配慮しなければならないと規定している。

取締役会の40%は従業員による選挙で選ばれることとなる。役員は長期的な視点で経営に携わるよう、受け取った報酬株式を少なくとも5年は保有し続けなければならない。企業が政治献金をする際は、少なくとも株主の75%と役員の75%の承認を得なければならない。さらに政府は、企業がこの法律を繰り返しはなはだしく違反する場合、認定を取り消すことができるとしている。

民主党左派にはさらに先を目指す議員もおり、自らを「民主社会主義者」と称している。バーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員とニュージャージー州選出のコリー・ブッカー上院議員は、両者とも大統領選の候補者とみなされているが、彼らが提唱しているのは全国民に対する雇用保障だ。

ニューヨーク州の議会選挙の候補者でメディアの寵児となった、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏は、公的医療保険、メディケア対象者の全国民への拡大、大学授業料無償化、完全雇用保障、人権保障の一環としての住居提供政策を提唱している。

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