「労働時間削減」と「生産性向上」は両立できる 労働環境の改善こそ働き方改革のキモだ

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自分の職場に満足し、仕事とも相性のいい社員は、仕事のパフォーマンスも高いのだ(写真:imtmphoto/iStock)

目下、国会で審議中の働き方改革法案に関する最も激しい議論は、労働時間に関するものだが、こうした議論が日本人の実際の働き方に与える影響はそれほど大きくはないだろう。それより重大な問題は、政府がどれほど精力的に改革を実行するか、そして、どれほど雇用主と労働者が積極的にそれに従うか、である。

法案に対する批判は、裁量労働制の拡大に特に集中している。裁量労働制とは、雇用者が特定の分野の労働者に対して、実際の労働時間ではなく、想定される労働時間を基にした固定給を支払うことを可能にする。

が、法案はすでに裁量労働に関する部分を取り下げている。安倍晋三首相がこの提案を擁護するために国会審議で引用したデータに、疑わしい点が見られたためだ。野党はまた、専門業務型裁量労働者を残業代の適用外とすることによって、研究者やアナリストといった行動プロフェッショナルに対して残業代を払わずに、固定給を支払うことを可能にする案にも異を唱えた。

行き過ぎた「改正」は阻止すべし

この2つの残業規制の改革は、仕事に費やした時間ではなく、生産性によって報酬を得るべき、ある一定のホワイトカラー労働者には適切だ。このような方法は専門性の高い労働者の実際のビジネス慣行を反映している。彼らは通常、一定以上の時間を仕事に費やしても残業代を求めることはない。

これらの法案に批判的な立場の人々が、雇い主が除外範囲を、残業代を支払うほうがより合理的な職種に広げようとしたり、残業除外を全体の人件費の削減の手段として使うことを不安視するのは当然だ。そのため労働側が実際の企業習慣の監視をより強化するべきであり、将来の行き過ぎた改正を阻止する必要がある。

また、単月の残業時間を100時間未満とする提案にも批判が集まっている。原案では、残業時間年間720時間の枠内で、単月100時間未満、6カ月内における2カ月平均が80時間まで残業が認められている。理想を言えば、政府はこの上限を抑えるべきだが、法案は残業時間の上限を規定し、効力を強化することによって重要な前進を果たした。

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