「労働時間削減」と「生産性向上」は両立できる 労働環境の改善こそ働き方改革のキモだ

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だが、それでも細かい規定に関する議論は、より大きな目標を見えにくくするリスクがある。どうすれば政府と産業界はよりよい労働環境と、高い労働生産性を両立させる雇用システムを実現することができるだろうか。前回の記事(働き方改革は案外バカにできない成果を生む)でも指摘したが、労働力不足を背景に、政府と産業界は従業員と人件費をカットするゼロサムの取り組みから、職場環境の質を高め、生産性を強化する「ポジティブサム」の取り組みにシフトせざるをえなくなっている。

労働時間については、目標を示すことは簡単だが、「労働時間を減らしながら、労働生産性を向上する」ことは容易ではない。しかし、本質的には、企業は労働福祉を改善することによって、労働力を増やし、生産性を高めることができる。

労働時間を減らし、より幅広い、多様な働き方を提供することでより多くの従業員を引きつけることもできる。さらに、従業員を時間で管理するより、成果で管理するようにシフトすることができれば、労働時間を減らしながら、生産性を向上することもできるだろう。

世論も変わりつつある

働き方とオフィス環境を研究するコクヨの「ワークスタイル研究所」は、管理職が会議やメール、会議向け資料作成準備などを減らすことを勧めると同時に、社内コミュニケーションの改善と従業員の目標管理を徹底することを推奨している。結局のところ、自分の職場に満足し、仕事とも相性のいい社員は、仕事のパフォーマンスも高いのである。

それでも、企業と労働者双方にとって「ウィンウィン」となる解決策を導き出すために、企業は仕事を再編し、仕事の分類を見直し、そして新たな方法で情報技術を活用する必要がある。企業は、全体の労働時間を減らすだけでなく、テレワークなど働き方の多様化を含めてワークシフトをより柔軟にしなければならない。

政府と産業界主導の「働き方キャンペーン」は、世論を変えつつある。実際、最近東京の書店に入ると、働き方に変化の兆しが現れていることがわかる。増えている関連本の中でも、特に目立つのが企業レベルで改革を推進するための「ハウツー本」だ。

国立国会図書館検索エンジンによれば、「働き方改革」という言葉を含むタイトルは、2014年は17冊、2015年は50冊、2016年は177冊だったのが、2017年には909冊に増えている。そして、日経新聞の記事検索で「働き方改革」を含むタイトルの記事は、2013年には17本、2014年は58本、2015年は114本、2016年は698本だったのが、2017年は2057本に上っている。

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