「災害報道」で問われるローカル局の存在価値 被災エリアの放送局が伝えるべき情報とは?
ただし、全国レベルで見ると、広島の降水量はそれほど多くない。同局の放送制作局社会情報部に所属する気象予報士であり、「イマなまっ!」ディレクターでもある岩永哲は言う。
「四国や紀伊半島、東海地方と比べると、中国地方は雨量が少ないので、東京ではあまり注目されません。でも、被害が出るか出ないかは、雨量とはまったく違う次元の話です。少ない雨でも多くの人が亡くなる可能性があることは、地元を知っている人間でなければ伝えるのは難しいと、今回の災害で強く感じました」
放送エリアの地域性や、そこに住む人々のイメージができていることは、災害報道において重要である。被災者が本当に欲している情報は何かを判断し、放送で伝えられるからだ。
RCCラジオ「平成ラジオバラエティごぜん様さま」(月〜金曜、9時〜11時32分)のパーソナリティを務める横山雄二アナウンサーは、次のように述べる。
「被害に遭った方へ向けた放送に特化しました。普段はただ流して聴いてもらっているだけの放送を、本当に必要としている人に渡そうと。自分たちにできることを聴いてもらうのが、被災された方々にとって一番の安心感だったり、エールになったりすると思ったので」
青山アナも岩永Dも同趣旨の発言をしている。
北海道のラ・テ兼営局が発災後に行った報道
9月6日に発生した北海道胆振東部地震におけるHBC(北海道放送)ラジオ、STV(札幌テレビ放送)ラジオでも、リスナーに有益な情報を届けようとする姿勢が感じられた。
今回の地震では北海道全体で35人が死亡、3人が安否不明となっている(8日22時51分現在、北海道新聞電子版)。と同時に、全道での停電が市民生活に大きな影響を与えた。電気がなければ携帯電話も動かず、テレビも点かないため、情報が得られない。
そんななか、STVラジオ「工藤じゅんきの十人十色」(月〜金曜、10時〜12時55分)は、「札幌市役所で携帯電話の充電サービスを行っている」「STV本社前でもサービスを開始した」と伝え、ラジオカーでの中継も行った。
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