「災害報道」で問われるローカル局の存在価値 被災エリアの放送局が伝えるべき情報とは?
ここ数年、在京テレビ・ラジオでは「首都直下地震が起こる可能性が高い」という情報を流している。しかし、その当事者である局自体が「起きた場合の想定」をしているとは思えない。
今回、RCCを訪ねて驚いたのは、ラ・テ兼営局であるにもかかわらず、きめ細かい情報をフォローしていたことだ。給水、風呂、ボランティアセンターの受付時間と場所などを丁寧に、時間を割いて伝えていた。ケーブルテレビやコミュニティFMかと勘違いするほどだ。それらの情報は、自分たちで各自治体のウェブサイトを見て集めている。
さらにラジオの場合は、「あの道は通れるのでしょうか?」といったリスナーからのメッセージにも答えていた。しゃべり手、スタッフが放送エリアをきちんと把握していなければできない対応だ。
広域放送局同士で災害時の取り決めを
翻って在京局である。いくつもの都県を放送エリアとしているため、1つの局がすべてをカバーするのは不可能であろう。であれば、いざというとき、どの局がどの地域を担当するなどの取り決めをしておくべきではないのか。割り振られても、放置しておいては避難誘導はできない。与えられたエリアに足繁く通い、建物、道、地形に精通しておく必要がある。
そこまで頭に入れてようやく、本当に大事なことに着手できる。「他地域の災害がここで起きたら、どんな被害が発生するか」をイメージするのである。
前出・岩永Dは「個人的に気象キャスターは」と前置きしたうえで、「どこでどんな災害が起きたかが、100年、200年単位で頭に入っているかが重要」という。人員数が多い在京テレビ局であれば、そのような専門的な人材を育成しておいてもよいのではないだろうか。
とはいえ、テレビは電気が通っていて初めて見られるものだ。西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震のすべてで停電が起きている。こんなときに情報源となるのが、乾電池やソーラー電池、手回し充電でも駆動するラジオだ。しかし、ここにも大きな落とし穴がある。ラジオを聴いている人の絶対数が少ないのだ。
前出・横山アナも「何かがあったからラジオを点けるということはない」と言っている。筆者も同意見だ。平時からラジオ局は「いつ、どこで、誰が、どんな番組をやっているか」を、広く知らせる方法を考えなければならない。その考えを実行する際は、筆者も労を惜しまず協力していく所存だ。
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