日本で奮闘!カナダ人母のサバイバル哲学 カナダ、イギリス、香港、そして日本へ

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すべては「自分次第」

もっとも、自立心あふれるエイミーさんとて、立ちはだかる、ワーキングマザーへの無理解には、戸惑ってしまうこともある。

そのひとつが、子どもが熱を出して出社できないとき、自宅で働いているのに、「欠勤扱い」になってしまうことだった。

しかし、「すべては自分次第」の哲学を貫くエイミーさんは、この壁にも立ち向かった。

「私は、自宅にいながらでも海外オフィスとの電話会議に参加したり、リモートアクセスできちんとメールに返信するなど、仕事をしています。遊んでいるわけではないので、自宅勤務について上司に相談したところ人事部と検討してもらうことができ、以降、きちんと出勤扱いにしてもらえるようになったのです」

このように、日本の女性も「権利があることを自覚すべき」だとエイミーさんは言う。

「多くの日本の女性が、育休後、以前の職を取り上げられたり、ダウンサイジングさせられているのは残念だと思う。だって、育休中にその人の能力が落ちるわけでははないですよね。ワーキングマザーになることは楽ではありません。育休を取るということは、それを知りながら、『会社に戻ってきます』と会社へのコミットメントを示していることなのだから、以前の職は確保されるべきだし、前の職に戻れることを会社は保障してあげるべき。それが保障されていないのなら、言うべきことは言ったほうがいいと思います」

故郷のカナダを出て、もう14年近い月日が経つ。新しい土地で新しい仕事にチャレンジし続けてきた人生は、「Life is hard」の一言では片づけられないほど、苦難の連続だっただろう。

それも、「すべては自分次第」のフィロソフィーで乗り超えてきた人の言葉であるだけに、説得力がある。

エイミーさんの「自分の意識次第で、どんな状況も変えられる」という言葉は、いつまでも筆者の胸に残った。

(撮影:今井康一、編集協力:中川雅博)

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